阪神単独2位 地獄のロード初戦で大和が決勝ソロ

中日対阪神 2回表阪神無死、大和は左越え先制本塁打を放つ(撮影・宮崎幸一)

<中日0-5阪神>◇28日◇ナゴヤドーム

 阪神大和内野手(29)が今季1号で「虎史上最長ロード」初戦の白星を運んできた。中日15回戦(ナゴヤドーム)の2回の第1打席に左翼席へ先制の決勝ソロ。本人は「びっくり」と表現したが、この日も3安打1打点で打率3割1分7厘と好調をキープ。チームは2連勝で単独2位に。この日から突入した球団最長31日間、27試合の長期ロードは、大和砲で白星発進だ。

 迷いはなかった。大和は大砲顔負けの放物線を描き、観客をあぜんとさせた。2回無死、フルカウント。左腕バルデスの高め直球は見逃せばボールだったかもしれない。だが、ちゅうちょしない。右打席から強振し、今季1号の先制ソロを左翼席中段まで届かせた。

 大和 ラッキーでした。先頭だったんで塁に出ることだけを考えていた。入るとは思わなかった。打った自分がビックリです。

 昨季5月5日の敵地中日戦以来、同じ舞台で449日ぶりとなるプロ通算3号。金本監督も「投げた瞬間は四球だと思ったけど、結果オーライっていうかね。あちゃ~と思ったけど、入ってくれて良かったです」と笑顔を見せた。

 思いきりの良さは変わらない。独身時代の7年前、10年11月に「虎風荘」を退寮する際のこと。人生で初めて不動産を突撃訪問した。希望地域もなければ予算設定もなし。部屋の間取りを調べたこともない。一切の予備知識も持たない中で、2軒見ただけで賃貸マンションを即決した。逆に業者側から熟考を促されたが「時間がもったいない」と決めた。こんな男だから、昨オフに29歳でスイッチヒッター転向も決断できた。勝負どころで迷わない。

 チームは31日間で27試合という球団史上最長の遠征に入った。その初戦に左右打席で計3安打。遊撃レギュラーに定着しつつあったドラフト5位糸原の負傷離脱後、大和がその座を奪い取った感がある。

 金本監督 守りにおいては信頼がある。打つことに関しては劣るところがあったけど、左打席でも結果が出ているんでね。去年はふがいない中堅(組)でしたから。今年は上本にしろ大和にしろ俊介にしろ、去年の悔しさを出してくれているんじゃないですかね。

 2連勝でDeNAに0・5ゲーム差をつけ、単独2位に再浮上。虎が長い旅路で上々の滑り出しを見せた。【佐井陽介】