政界地獄耳

言葉のすり替えブーム 発端は永田町/政界地獄耳

★どうもおかしい。日本語の使い方がおかしいのか、言葉を言い換えないと贖罪(しょくざい)の意識が芽生えるのか、いや、言葉を言い換えることでトーンを柔らかくしてごまかそうとしているだけではないのか。本質を正面から見据えることを避け、聞こえのいい表現に変換すれば解決するとでも思っているのか。だがその発端は政治にある。政治家や官僚がとりつくろったり、ソフトな印象に変えようとして生まれた強引な霞が関・永田町文学がルーツともいえる。

★「公文書を書き換えたけど改ざんではない」「武力衝突はあったが戦闘ではない」「つぶせとは言ったけど反則しろとは言っていない」と事態を正面から受け止めず、ごまかしたりすり替えたりしていたものも、最近では「残業代ゼロ制度は高度プロフェッショナル制度」に「移民を実技実習生や外国人労働者」に「日米FTAを日米TAG」に言い換える。このところ「パパ活・ママ活」という言葉がはやりだそうだが援助交際、つまり売春の隠語としても使われる。

★それに政治家の屁理屈や暴言が重なるわけだが、国民がその言い換えであたかも別のものにすり替わったり、表現を変えて違法なものを正当なものと勘違いさせようとすることもどうかと思う。少し立ち止まって考えれば気付くものも、メディアが例えば法案を統一させたりする。集団的自衛権行使を含む武力攻撃事態法など現行法10本を一括改正した「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法」の計11本は安保法制から「平和法」となったし、共謀罪はテロ特措法と言い換えられた。法律の本質とは違う名称にしてイメージをやわらげた最たるものではカジノ法も統合型リゾート整備推進法、いわゆるIR法と言い換えられて報じられた。ごまかし続けて最後は何が残るのか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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