政界地獄耳

迷走する法務省 信頼損なったのは森自身…/地獄耳

★法務省の迷走が痛々しい。前法相・河井克行の突然の辞任と選挙での買収疑惑に続き、検察ナンバー2である前東京高検検事長・黒川弘務も、賭けマージャンで失脚、辞職した。ことに法相・森雅子のでたらめな答弁が巻き起こした迷走からなお、同省は抜け出せないでいる。26日の衆院法務委員会で森は黒川の退職金は約5900万円になると説明。ただ自己都合退職となるため定年退職の場合より約800万円減額されているとした。

★これは驚いた。首相・安倍晋三は25日の会見で「退職金については訓告に従い、減額されていると承知している」と訓告が減額の理由と説明していたが、森は自己都合退職だからだという。自己都合退職が定年退職や勧奨退職に比べて減額になるというなら、与野党の官僚出身の政治家、選挙に出るために退職した彼ら官僚議員はみんな、減額を食らって議員や首長になったということになる。そんな話聞いたことがあるだろうか。それとも、途中で官僚を自己都合で辞めるようなやからは、減額が相当だと森は言っているのか。

★森は同日の会見で「法務・検察行政刷新会議」を省内に立ち上げ、信頼回復に努めると言いだし「さまざまな指摘や批判をいただいている。国民の皆様からの信頼が不可欠だ」と述べた。だが今年1月、保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長・カルロス・ゴーン被告に対して、森は「ゴーン被告は司法の場で無罪を証明すべきだ」と指摘したものの「有罪を証明するのは検察であり、無罪を証明するのは被告ではない。ただ、あなたの国の司法制度はこうした原則を無視しているのだから、あなたが間違えたのは理解できる」と世界から日本の司法制度を批判された。3月には、国会で「東日本大震災の時、検察官は福島県いわき市から国民、市民が避難していない中で最初に逃げた。身柄を拘束している十数人を理由なく釈放して逃げた」と言いだし、謝罪に追い込まれた。つまり信頼を損なってきたのは森自身であり、それをかばってきたのは首相。刷新すべきは法務行政をつかさどってきた政治ではないか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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