【書き下ろし&復刻】「嫌われた監督」著者・鈴木忠平が描く勝負の世界〈5〉谷繁元信

「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」で2022年の各賞を総なめにした、ノンフィクション作家の鈴木忠平氏。書き下ろしの「随想録 鈴木忠平」第5話は、アンタッチャブル・レコードを保持する捕手から垣間見た、プロの神髄を描写します。当事者として登場させた自分を、客観視して描く。オンリーワンの手法を堪能してください。日刊スポーツに在籍当時の、雄健な筆致がにじみ出た貴重なハイライト原稿も復刻。充実のバックナンバーとともに、卯年のスタートをじっくりとお楽しみください。(所属、年齢などは当時)

プロ野球

◆鈴木忠平(すずき・ただひら)1977年(昭52)千葉県生まれ。名古屋外国語大学を卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。中日、阪神などプロ野球担当記者を16年間経験したのち退社し、文藝春秋Number編集部に所属。現在はフリーのノンフィクション作家として活動している。「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」(文藝春秋刊)でミズノスポーツライター賞、大宅壮一ノンフィクション賞、本田靖春ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞。最新刊に「虚空の人 清原和博を巡る旅」(文藝春秋刊)がある。

東日本大震災が起こった2011年シーズン、セ・リーグのペナントレースを制したのは中日ドラゴンズだった。監督である落合博満の退任が決まった直後から驚異的なペースで勝ち続け、一時は10ゲーム以上も離されていたヤクルトスワローズを逆転した。担当記者だった私は、実力が拮抗したプロの世界でこんなことが起こるのかと、劇的なチームの変化に刮目した。

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1977年千葉県生まれ。名古屋外国語大学を卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。中日、阪神などプロ野球担当記者を16年間経験したのち退社し、文藝春秋Number編集部に所属。
現在はフリーのノンフィクション作家として活動している。「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」(文藝春秋刊)でミズノスポーツライター賞、大宅壮一ノンフィクション賞、本田靖春ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞。
最新刊に「虚空の人 清原和博を巡る旅」(文藝春秋刊)がある。