清水大前“因縁”払拭弾 平常心で臨み町田を撃破

前半21分に先制ゴールを挙げ、拳を握り締めて喜ぶ清水FW大前

<明治安田生命J2:清水2-0町田>◇第35節◇8日◇アイスタ

 ホームのJ2清水FW大前元紀主将(26)が先制ゴールを挙げ、2-0で町田を撃破する原動力となった。前半21分、右足ループシュートで貴重な先制弾をマーク。6月のアウェー戦で肋骨(ろっこつ)4本骨折と肺挫傷の重傷を負った相手を下す得点を奪い、自らの足で“因縁”を払拭(ふっしょく)した。FW鄭大世(32)も得点ランク単独トップに躍り出る6戦ぶりのゴールで続き、チームも連勝で4位に浮上。2位松本との勝ち点差は「5」に縮まり、自動昇格への光が再び見えてきた。

 “因縁”の町田でも、シュートの瞬間はクールだった。前半21分、FW大前は相手DFが頭で返したバックパスに反応。GKとの1対1になると、右足でフワリと浮かせた。滞空時間の長い鮮やかなループシュートで先制点。「相手のDFが何回か頭でバックパスを出していた。チャンスは来ると思った」。狙い通りの一発に満足げな表情を浮かべた。

 6月の町田とのアウェー戦で相手MF井上裕大(27)と空中戦で交錯し、全治3カ月の重傷を負った。サッカー人生で初めての長期離脱。主将としてピッチに立てないもどかしさもあり、負傷直後は「何で相手があんな跳び方をしたのか聞きたかった」と、接触した井上のプレーが頭を離れなかった。静岡市内の病院を退院する6月中旬、井上から直接の謝罪を受けた。大前は「もう気にしていないし、仕方ないこと」と、苦い思い出を引きずるよりも、1日でも早い復帰を目指して全力を尽くした。この日も「個人的な思いはあったけれど、勝てればいい」と平常心で臨み、チームを勝利に導いた。

 エースが決めれば今季負けなし(8勝2分け)の不敗神話を「10」に伸ばし、チームは4位に浮上。2位松本が引き分けたため、勝ち点差は「5」まで縮まった。J2は残り7試合。大前は「勝ち続けることでチャンスが出てくる。ゴールを決めることで引っ張っていければ」。町田の目の前で完全復活を証明したエースは、チームをさらに高みへと押し上げていく構えだ。【神谷亮磨】