開幕のタイミングを探る国内女子ツアー。国内メジャーの日本女子プロ選手権は9月10~13日に開催予定だが、開催地の岡山・JFE瀬戸内海GCは、日本では珍しい本格的リンクスコースだ。53回を数える大会の中でも、異彩を放つ舞台となる。

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広島との県境、笠岡市の西に位置し、瀬戸内海の埋め立て地にあるJFE瀬戸内海GCにはスコットランドを思わせる趣が漂う。まるで全英オープンのような-。日本有数のリンクスとして、世界基準のプロ育成を目指す日本ゴルフツアー機構(JGTO)の提携コース第1号となった。

ほぼ高低差がなく、フラットな地形。高木は所々にあるヤシの木だけ。OBゾーンが少なく、18ホール全体を見渡せる開放感がある半面、ショットはターゲットになるものがなく、イメージを作りにくい。アバウトな距離感は禁物だ。

さらにやっかいなのは、コース全体に存在する“うねり”だろう。91年の開場から、地形にうねりが増した。波立つようなフェアウエーはライが複雑で、グリーンが見えない場所もある。また馬の背形状が多いグリーンも凹凸が激しくなった。

ウオーターハザードも怖い。左サイド全体に池が広がる18番パー5は、ドローヒッターに厳しそう。5、7、9、12、15番も池が効いている。

とどめは、リンクス名物の「風」だ。吹きさらしだから、影響は大。3オン困難なパー5が生まれたり、選手が非日常的な選択を要求されるケースも出てくるなど、天候次第でコースの表情が一変する。

戦いの舞台を仕上げるのは、日本女子プロ選手権のセッティング担当者・岡本綾子だ。同GCの岩野好伸支配人によると、昨年からすでに5、6回、コースを訪れている。

「岡本さんからは、フェアウエー横のファーストカットをなくしたり(ラフに直結させたり)、池やバンカー方向の芝を刈り込んだり、指示を出していただいています。コースでは『ここはパーでいいね』『ここはバーディーで』とか、言ってらっしゃいますね」(同支配人)

渋野日向子ら黄金世代、鈴木愛、上田桃子、イ・ボミらトッププロが悩み、考え、神経をすり減らす“女子プロNo.1決定戦”は、見応え十分になる。

◆JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 1991年(平3)4月に開場。設計は加藤俊輔氏。男子ツアー「~全英への道~ミズノオープン」を通算13回開催。昨年は女子の最終プロテストを実施。ヤーデージはトーナメント・ティーで7480ヤード、レギュラー・ティーで6433ヤード。所在地は岡山県笠岡市鋼管町19番地の2。