3月9日に開幕する平昌(ピョンチャン)パラリンピックの日本選手団の結団式・壮行会が26日、都内で行われた。日本代表は5競技38人が出場し、メダル獲得数は14年ソチ大会の7個以上を目指す。五輪から「パラリンピック出場」の夢に変えたスノーボード代表の成田緑夢(ぐりむ、24=近畿医療専門学校)は、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)日本代表の活躍を胸に刻み、決意表明した。

 天才アスリートの挑戦が始まる。成田は初の大舞台に向けて、静かに気持ちを奮い立たせた。「夢は変わったけど、着実に夢に1歩1歩踏み出している。平昌五輪と同じように、見ている人がハラハラするような滑りを見せたい」。

 苦難の人生だ。06年トリノ五輪スノーボード代表の童夢と今井メロを兄姉に持ち、フリースタイルスキーでソチ五輪を目指した。父隆史さんのスパルタ教育で五輪出場は「成田家の夢」。しかし、13年4月の練習中に事故で腓骨(ひこつ)神経左膝下まひの障害を負った。「スポーツで感動や勇気を伝えたい」。自身に適する競技を探し、16年10月にスノーボード挑戦を決意。持ち前の高い運動能力は健在で、W杯や世界選手権などで表彰台に立った。「演技が爆発した時のみ成績が良い。ターン技術などの安定感はまだまだ」。同12月からは苦手のターンを克服するために左足に硬い素材のブーツを履くなど試行錯誤を続ける。

 今大会は2種目出場し、陸上で20年東京パラリンピックも目指す。「パラリンピックは自分の意思で取り組み、進んできた『成田緑夢の夢』なんです。メダルの色以上に、自分が滑ることで多くの人に何かを感じてほしい」。緑夢の夢舞台が幕を開ける。【峯岸佑樹】

 ◆成田緑夢(なりた・ぐりむ)1994年(平6)2月1日、大阪市生まれ。フリースタイルスキー・ハーフパイプで13年世界ジュニア選手権優勝。13年4月に練習中の事故で夏冬二刀流のパラアスリートになる。スノーボードバンクドスラロームで17年世界選手権3位。17年日本パラ陸上選手権では走り高跳び(下肢障がいT44)2位。173センチ、63キロ。血液型AB。