滑降女子座位で村岡桃佳(21=早大)が銀メダルを獲得し、今大会の日本選手団メダル第1号となった。21歳でのメダル獲得は同競技の最年少記録を更新した。男子座位でも森井大輝(37=トヨタ自動車)が4大会連続の銀メダルに輝き「アベック銀メダル」の好スタートを切った。2連覇を狙った狩野亮(31=マルハン)は途中棄権した。

 開会式で旗手を務めた村岡は、結果でも日本選手団を先導した。2度目の大舞台は「メダル1号で日本に勢いをつける」との強い思いで臨んだ。150センチ、37キロの小さな体で、硬く荒れた雪面を果敢に攻めた。時速100キロ以上で転倒しかけながらも耐えた。シャフェルフーバー(ドイツ)に1秒49及ばなかったが銀メダルを獲得。「恐怖の中のレースだったけど勝ちにいった。頭で考えるのではなく攻めた滑りを意識した。ホッとしています」と胸をなでおろした。

 4歳の時、横断性脊髄炎で車いす生活になった。中2で競技を始め、埼玉・正智深谷高2年で初出場した14年ソチ大会大回転で5位。大学は「浪人しても早大」希望だった。知人を通じて、名門早大スキー部の倉田秀道前監督に入学相談を持ち掛けたが「指導体制がない」と断られた。その後、村岡のスキーへの情熱が伝わり、五輪などの国際大会で活躍出来る選手を対象とする「トップアスリート入試」を薦められた。狭き門に合格。早大のパラアスリート第1号となった。

 大学側は約500万円を捻出し、寮をバリアフリー化した。入り口にスロープ、廊下や風呂場に手すりなどを付けて改修。寮生活を始めたことで早大生としての自覚と責任も芽生えた。「私の次に続く、パラアスリートのためにも今大会は手ぶらで帰れない。大学の仲間が世界で活躍している姿を見ると『私も負けていられない』という気持ちになる」と話す。今大会はまだ4種目に出場予定で、閉会式の18日には得意の大回転が行われる。「今回(の日程)は私に始まり、私で終わる。まだまだ高みを目指してメダルを取りたい」と貪欲だ。【平昌(韓国)=峯岸佑樹】