陸上走り幅跳びのトップアスリート、山本篤(35=新日本住設)が決勝トーナメント1回戦で敗退した。予選を12位のタイムで通過し、同5位のシュルツ(米国)と対戦。スタート直後のウエーブと呼ばれるコブを越えたところでバランスを崩してコースを外れて大きく遅れ、そのまま逃げ切られた。

 「スタートでしくって(失敗して)しまいました。そこが課題だと思っていましたが、ダメでした。まだまだですね」。山本は苦笑いで冬季パラリンピックのデビューレースを振り返った。それでもコースに復帰して最後まで転倒もなく滑りきったところに、陸上の世界トップで活躍するプライドが表れていた。

 昨年10月にプロアスリートとしての活動をスタートした。自らの競技環境を整えるのはもちろん、自分の後に続く若きパラアスリートたちに、さまざまな可能性を示すことがモチベーションになっている。冬季競技のスノーボード挑戦もその1つだ。

 08年北京大会の走り幅跳び銀メダルで、日本の義足陸上選手初のパラリンピック・メダリストになった。その山本が狙うのは22年北京冬季大会でのメダル獲得だ。「同じ開催都市で夏冬のメダル、いいですよね」。16年リオ大会の走り幅跳びも銀。もちろん、20年東京では悲願の金メダルも手に入れるつもりでいる。

 16日には得意のバンクドスラロームに出場する。「観客も多いし、夏季とは違ったドキドキ感がある。滑りは悪くないし、1つでもいい順位を狙いたい」。山本の壮大なチャレンジが始まった。