【右投げ左打ちの功罪〈14〉】西武松井稼頭央ヘッドが語る日米スイッチ比較論

「いいとこ取り」ならスイッチヒッターが一番では?その数が、困難さを物語っています。日米で活躍した両打ちの名選手が、比較論を展開します。

その他野球

★「走りながら打っている」

日本球界で育ったスイッチヒッターは、右打席の方が本塁打率が高く、打率でもやや優勢だった。

プロ入り後にスイッチヒッターに転向する傾向が強く、左打席については「作った左」と呼ばれることが多い。

これは日本人選手だけに当てはまるのか? 日本球界でプレーした外国人打者の成績を左右別に調べた。

※本塁打数の後の()内の数字は本塁打率。1本塁打を打つまでに何打席を要したか

※日本球界に残っている記録は、左右の打席別の成績ではなく、右投手と左投手に分けた成績。例えば右投手との対戦で右打席に入ったケースもあるが、少数だと思われるため、ご了承下さい

左打席の方が成績がよかったのは、セギノールの本塁打率だけだった。ただ、デストラーデの本塁打率も左右でほとんど変わらない。日本の主なスイッチヒッター7人は、すべて右打席の方が本塁打率が高かっただけに、海外とは少し事情が違うのかもしれない。

今度は主な大リーグのスイッチヒッターの成績を見てみよう。

ここに挙げた全選手は右利きの右投げ。日本のスイッチヒッターと同じだが、打撃成績の傾向は日本と逆といっていい。打率でも本塁打率でも、右打席の方がいいのは、7人中で2人だけ。

日本では左打席の方が良かったのは、打率部門で7人中2人だけ。日本とは逆で、大リーグのスイッチヒッターは左打席の方がいい成績を残している。

ここまで違うのは、やはり打撃理論に関しての違いがあるのは明らかだろう。

1978年10月の日米野球でのピート・ローズの打撃フォーム

1978年10月の日米野球でのピート・ローズの打撃フォーム

西武松井稼頭央ヘッドコーチ左打席の時、後ろにある左腕がうまく使えなかった。だから箸を左で使ったり、何をするにしても左側からやるように変えました。ボールを飛ばすのも、後ろにある腕の押し込みがないとホームランにならない。

スイッチヒッターに転向したときの苦労話。大リーグと日本の打撃技術の違いについても話してくれた。

プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。