甲子園初打席…バックスクリーンへドラ1確定弾「やっぱり、こういうヤツだったんだ」/岡本和真あすなろの記〈3〉

巨人の岡本和真内野手(26)が、9月24日の中日戦(バンテリンドーム)で5年連続30本塁打をクリアしました。巨人では19年連続の王貞治、7年連続の松井秀喜に続く3人目。球団の右打者では初の記録です。プロ入り前の岡本を見守ってきたのが、智弁学園(奈良)の小坂将商監督(45)。中学1年の原石に一目ぼれし「こういう選手を育ててみたい」という一念が通じ、「智弁学園・岡本」は誕生しました。人並み外れた技術と体格を備えながら、人より目立つことを何より苦手とした少年が、老舗球団の看板打者に。胎動を追いました。(文中敬称略)

高校野球

14年センバツ三重戦 有言実行の2発

有言実行の高校58号だった。

2014年(平26)3月24日、第86回選抜高校野球大会4日目。

智弁学園(奈良)の岡本和真(巨人)は、三重戦の初回2死の甲子園初打席で、バックスクリーンに大アーチをかけた。6回の第3打席では、打った瞬間それとわかる一撃を左翼スタンドに放り込んだ。

「強い打球をセンターに返そうという意識でバットを振り抜いた。思わずガッツポーズが出てしまいました」

バックスクリーンへ放り込む甲子園デビュー。有言実行にホッとしたのだろう。息をついた口元が印象的=2014年3月24日

バックスクリーンへ放り込む甲子園デビュー。有言実行にホッとしたのだろう。息をついた口元が印象的=2014年3月24日

右拳を大きく突き上げてほえた自身の姿に、岡本は照れた。

84年PL学園(大阪)の桑田真澄と清原和博。92年星稜(石川)の松井秀喜ら、甲子園を代表する強打者に肩を並べる、1試合2アーチ。監督・小坂将商との約束を果たす全国デビューになった。

センバツ切符を待つ冬、小坂は岡本に「センバツが決まったら、大きなことを言え」と伝えていた。

2発を放ち三重戦に勝利。合掌してグラウンドを後にする

2発を放ち三重戦に勝利。合掌してグラウンドを後にする

大きなことを言わない岡本が、2年ぶりの出場が決まったとき「打率5割、ホームラン1本は打ちたい。バックスクリーンにいきたいですね」と公約を口にした。

「1打席目のホームラン見て、やっぱりこういうヤツだったんだな、と思いました」

中学1年の岡本に、小坂は一目ぼれ。こういう選手を育てたいと思い続け、念願かなっての二人三脚。ついに岡本は全国の大舞台にたどり着き、自身の才能、普段の練習通りの結果を披露した。

自分だけが騒がれ…取材自粛の要請

注目の対決となった2回戦は、佐野日大(栃木)・田嶋大樹(オリックス)の前に4打数1安打、ノーアーチ。1回戦で2アーチを放った長距離砲が「勝ちたい。チームで攻略したい」とバットを短く持って、大会NO・1左腕に挑んだ。

だが必勝への思いは力みになり「最初に投げた縦のスライダーに合っていない」と見破った田嶋に、前年の公式戦では1つもなかった三振を2個も奪われた。

最後は9回裏から救援登板した岡本が、延長10回2死満塁でサヨナラ打を浴びた。ただ内外野から送られた拍手は、甲子園が認めた新怪物への敬意だった。

2回戦で佐野日大・田嶋と対戦。クロスファイアに手を焼き敗退=2014年3月28日

2回戦で佐野日大・田嶋と対戦。クロスファイアに手を焼き敗退=2014年3月28日

全国デビューを控えた選抜大会の開幕直前。岡本から笑顔が消えた時期があった。

古代の王国トロイを発見したシュリーマンにあこがれ、考古学者を目指して西洋史学科に入学するも、発掘現場の過酷な環境に耐えられないと自主判断し、早々と断念。
似ても似つかない仕事に就き、複数のプロ野球球団、アマ野球、宝塚歌劇団、映画などを担当。
トロイの 木馬発見! とまではいかなくても、いくつかの後世に残したい出来事に出会いました。それらを記事として書き残すことで、のちの人々が知ってくれたらありがたいな、と思う毎日です。