【大阪桐蔭元主将】「ミノルマン」の野球指導論 スイングは練習≠試合/連載〈3〉

4月にオープンした野球塾「Amazingベースボールパートナー東京校」に潜入している。日本最大の野球技術系YouTubeを運営する廣畑実氏(29)の指導は楽しく、分かりやすいのだが、驚かされることも相次ぐ。だからアメイジング!? 結局は納得させられることにも驚く。

その他野球

◆廣畑実(ひろはた・みのる)1993年(平5)8月27日生まれ、大阪府出身。大阪桐蔭の内野手として、1年秋にレギュラーを獲得。翌年のセンバツに出場。2年秋から主将を務める。1学年下に藤浪晋太郎(アスレチックス)らがいた。亜大進学。大学2、4年時に神宮大会優勝。JR東海に進むも、右肘故障の影響で16年に現役引退。退社後に野球塾、オンライン指導など小、中学生に野球を教える。19年9月にYouTube「ミノルマンチャンネル」を開始。600本以上配信し、現在10万2000人の登録者数は野球技術指導動画としては最大。20年2月「ロングティーキング関東予選」では、軟式球で119メートルを放ち優勝。168センチ、75キロ。右投げ左打ち。コロナ禍で話題に 2020年4月14日付紙面はこちら

新大阪の駅員も

ミノルマンが野球指導を始めたのは、JR東海野球部を引退したころだった。

大阪桐蔭から進学した亜大では1年春からベンチ入りしたが、故障が続いたこともあり、目指していたプロ野球から声がかからなかった。JR東海でも右ひじのトミージョン手術で離脱、プロ野球選手の夢を諦め、1年足らずで現役を離れた。

JR新大阪駅員など社業を続けながら、知り合いを通じて依頼を受ければ、各地で指導した。それが評判となり、故郷の大阪・八尾市に野球塾を開校して手応えをつかむと、25歳の春に退社して指導者に専念した。

東京進出は当時から考えていた。

具体的に動きだしたのは昨年暮れで、正式に決まったのは今年3月になってから。平日夕方に、連日室内練習場を貸し出してくれるベースランド新木場と出会うと「早くいかないかん」と一気に決まっていった。

プレオープンは3月23日。私も東京初の体験レッスンを見学させてもらったが、「練習と試合は同じスイングじゃなくていい」の言葉は印象に残った。

そして連載2回目でも紹介したように、1度リセットして練習したホームランスイングを、試合で同じようにする必要はないという。試合で同じスイングをするために、練習を重ねるのではないのか?

ミノルマン僕の中で、東京の子はちょっとおとなしいイメージを持っていたんですが、みんな、明るいしまじめ。標準語はめっちゃかわいいですね。イントネーションが違うんで。テンション上がりますね。東京に限らず、塾に来る子はまじめな子が多いかなってのを感じます。まじめにやってくれるのが一番ですね。

「一緒にする人、絶対に違いますよ」

動画の中と同じく、語り口は軽快だ。気になる「練習のスイングと試合のスイングは違う」の意味を問うと「これ一緒にする人、絶対に違いますよ」ときっぱり言い切り、説明を始めた。

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編集委員

久我悟Satoru Kuga

Okayama

1967年生まれ、岡山県出身。1990年入社。
整理部を経て93年秋から芸能記者、98年秋から野球記者に。西武、メジャーリーグ、高校野球などを取材して、2005年に球団1年目の楽天の97敗を見届けたのを最後に芸能デスクに。
静岡支局長、文化社会部長を務め、最近は中学硬式野球の特集ページを編集している。