新型コロナウイルス感染拡大の影響で野球少年の自宅待機が続く中、新たな野球塾が注目されている。

元大阪桐蔭主将の広畑実氏(26)はオンラインでの指導に力を入れる。週2回の動画配信に加え、LINEで個別に質問を受け付け、答える形式を取っている。月額1500円で質問回数に制限はない。対面式が前提の従来の指導法に一石を投じている。

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野球にもテレワークだ。昨年11月から大阪・八尾市で野球塾~AMAZING~を始めた。関東や九州など遠方から通う生徒のため、在宅で指導できる方法を考案。たどり着いたのがオンライン指導だった。野球少年の練習機会がない中、広畑氏は「家でできるということで、いろいろな人が調べてくれている」と驚いた。年明けから受講生は急増。3カ月で100人増え、現在は250人に上る。主に小学生から高校生に、体の使い方や自宅での練習方法を紹介している。

入会後にやってもらうことは、LINEとフェイスブックのグループに登録だけ。毎週月曜と水曜に動画を投稿し、質問も個人LINEで受け付ける。「やっぱり手軽なので。もらった質問にも動画にして個人的に答えています」。質問回数も内容も自由で、1人1人に答えていく。生徒に寄り添った指導を心がける。

大阪桐蔭2年時に2番二塁でセンバツ出場。3年時は主将として1学年下の阪神藤浪、2学年下の西武森らとプレーした。亜大-JR東海と進み、引退。子どもに教えたいという思いが強く、野球塾を始めた。受講生以外にも愛称「ミノルマン」としてインスタグラムやユーチューブで一般向けに技術指導動画を配信している。「大学4年でトミー・ジョン手術を受けたり、けがが多かった。自分の経験やけがしない体づくりなど少しでも伝えていきたい」と意気込んだ。

現在も細心の注意を払いながら、対面指導を続けている。野球に飢えている生徒がいたり、モチベーションの維持方法に関する質問が来るなど、子どもたちへの影響も少なくない。「難しい問題だけど、家で時間が取れる。逆に今がチャンスと思って練習してもらいたい」とエールを送った。【湯本勝大】

◆広畑実(ひろはた・みのる)1993年(平5)8月27日生まれ。大阪出身。大阪桐蔭から亜大進学。大学2、4年時に神宮大会優勝。JR東海に進むも、右肘故障の影響で16年現役引退。今年2月「ロングティーキング関東予選」では軟式球で119メートルを放ち優勝。168センチ、75キロ。右投げ左打ち。