【DeNA橋本達弥】完全寛解→慶大→ドラ5 「誰か」の希望になるべく育成奮闘中

DeNA橋本達弥投手(24)は希望の光に―。慶大進学を前に、国指定の難病「IgA腎症」と診断された過去があります。1度は野球をあきらめながらも、奇跡的な回復を遂げてプロ入りまでこぎ着けました。いまだ1軍登板はありませんが、同じ腎臓病で苦しむ誰かを勇気づけることをモチベーションに、支配下復帰、そして1軍登板へもがいています。

病気と闘った過去や野球への思いを快く明かしてくれました。

プロ野球


◆橋本達弥(はしもと・たつや)2000年(平12)7月18日生まれ、兵庫・神戸市出身。長田から慶大に進みリリーフとして活躍。東京6大学通算36試合、2勝2敗、防御率1・19。22年ドラフト5位でDeNA入団。1軍登板がないまま、今季から育成選手となった。181センチ、84キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸650万円。


腎臓の難病を克服、22年ドラフトでDeNAから5位指名されるまでに

腎臓の難病を克服、22年ドラフトでDeNAから5位指名されるまでに

入学目前練習参加中「コーラくらい赤黒い」血尿

「スポーツはもう、やめた方がいい」。医師の宣告で、橋本の野球人生は1度、終わった。

夢に胸を膨らませていた大学入学直前の春のことだった。長田(兵庫)からAO入試で慶大に入学。「野球をしっかりやる中で勉強もできるところがいい」とわくわくしながら名門校の門をたたいた。

入学前の2月から野球部の練習に参加し、いよいよ春のリーグ戦が始まる3月。突然、悲劇に見舞われた。

下痢が止まらず、胃腸炎のような症状で、体重がみるみる減った。病院に行くと「胃腸炎でしょう」と薬を処方された。

しかし〝異変〟はさらに大きくなった。「コーラくらい赤黒い」という血尿が止まらない。下痢も止まらない。便器は真っ赤に染まり「これはやばいな」と焦った。

病院に救急で駆け込むと、予期せぬ事態が待ち受けていた。「腎機能が20%しか働いてません。即入院してください」。野球どころではなくなった。


1年目の23年2月、キャンプで佐々木主浩氏からアドバイスを受ける

1年目の23年2月、キャンプで佐々木主浩氏からアドバイスを受ける

IgA腎症「スポーツはやめた方がいい」

病名は「IgA腎症」。原因ははっきりとは分かっておらず、国の難病に指定されている病だった。血液をろ過して尿を作る腎臓のろ過装置にあたる糸球体に炎症が起きる病気で、日本では若年層、中年層の間で多くみられると言われている。

大好きだった野球が遠くに感じた。

医師からは「スポーツはやめた方がいいと勧めてます。一通りこの病気になった人には、最初はやっぱり辛いけど運動はお勧めできませんと伝えてます」と告げられた。

それもそのはず。塩分摂取と血圧の上昇が腎臓に負担をかける。タンパク質も摂取できないためにプロテインも禁止。運動も「血圧が上がってしまうからとにかく安静に」と言われた。

スポーツどころか、運動も遠ざかった。

まだ入学前の3月のこと。心は折れかけた。

「野球ができないなら入学するのもやめようかなと。浪人して違う国立大学を目指す道もありかな、そっちでも自分のやりたい勉強ができるかもなと思って入学も迷ってました」

慶大のある神奈川から地元・神戸に帰った。

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1998年3月生まれ。東京都あきる野市出身。都立富士森では硬式野球部に所属。中大商学部を経て、2020年4月入社。同年10月から野球部配属で同12月から巨人担当、24年1月からDeNA担当を務める。26年は巨人担当。
趣味は海外サッカーなどのスポーツ観戦、映画鑑賞、サウナ。下手くそだけどマイブームはゴルフ。好きな食べ物は地元の八王子ラーメン。