【インハイ3部作〈上〉】中村俊介 大切なのは失敗したその後…21年の涙を糧に成長
フィギュアスケート男子の中村俊介(17=愛知・中京大中京)が、1月16、17日に埼玉アイスアリーナで行われた全国高校選手権(インターハイ)に出場し、合計212・12点で2位に入りました。
ショートプログラム(SP)首位発進で臨んだフリー。1本目のジャンプを転倒した「後」の演技に、今季の成長が詰まっていました。
今季ジュニアグランプリ(GP)シリーズ第1戦で優勝を収めるなど、躍進を遂げた17歳。年末年始には、家族で“意外な遊び”に興じたことも明かしました。
フィギュア
<インターハイ:男子シングル2位中村俊介>
3日連続で配信! インターハイ3部作アイストーリー
SP首位発進の2位、盟友三浦佳生と表彰台
もろかった16歳の頃の姿は、もうそこにはなかった。
SP首位発進を決め、最終滑走で迎えたインターハイのフリー。
「ライバル」で「友人」の三浦佳生(17=オリエンタルバイオ/目黒日大高)が滑り終わった後に、中村の出番はやってきた。
リンクサイドでは、同世代の出場者たちが視線を送っていた。無観客開催の埼玉アイスアリーナに、緊張の糸が張る。
フリー曲「Sheik」が流れ出す。
冒頭の4回転トーループ。勢いよく氷を突いた。だが、着氷させることができない。リンクに転倒した。
リンクサイドからは「あぁ…」と声が漏れる。
ただ、氷上の中村の顔色は変わらない。緊張の糸を切らさない。
続くトリプルアクセル(3回転半)-2回転トーループ。今度は決めた。出来栄え点(GOE)で1・87点の加点を得た。
リンクサイドから聞こえる声は「おぉ!」に変わっていた。
取材エリアに現れた中村は、澄んだ瞳で言い切った。
「4回転をミスしても、次のジャンプを絶対に降りる。その次は崩れないと念頭に置いてやっているので、気持ちを切り替えて臨むことができました」
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