ビール片手に野球観戦したいと語る
長嶋一茂氏

　オールスターもそうですけど、現役時代の遠征、ホテルでの生活を思い出します。各地を回っておいしいものがたくさん食べられましたしね。何と言っても年に１、２回の北海道遠征での毛ガニ、これが最高でした。毎日毛ガニを食べて、１年分食べたんじゃないかって思うほど。何しろ生の、とりたてですから、東京じゃちょいと手に入らない。次に好きだったのが福岡。フグはもちろんだけれど、あの、何て言ったっけ…あぁ、そうそう。クエだ。フグより貴重だって。
　クエもいいけど、アラはもっと値段が張る。クエとアラは厳密に言うと別物だよ。これもすこぶるうまい。
　田尾さん、詳しいなぁ。
　食べることも好きだし、魚もさばけるけど、本当は釣りが何よりも好きだからね。暇さえあれば船釣りを楽しんでいるんだ。
　そうなんですか。ところで食べると言えば、遠征先のホテルの食事も豪華だった。大学時代の食べるものなど金銭的な限界があって、プロに入って食事を見たとき、これがプロなんだなって思いましたよ。

　大阪の宿舎は巨人も中日も同じだったからね。あの旅館の肉は本当においしかった。何しろもともとはお肉屋さんですからね、あそこは。
　牛肉、豚肉、何でもうまい。あまりにうますぎて３日目には飽きるくらい。あれ、なんだかオールスターの話から脱線して、食べ物の話ばっかり（笑）。
　でも宿舎といえば苦労話もあるんだよ。我々のルーキーのころと言えば、東京が３人部屋、大阪が２人部屋、広島にいたっては８人が一部屋で寝起きしたんだからね。
　ぼくらは旅館からホテルが主流になって、２人部屋から個室が普通になってきたころでした。
　とにかくみんな一緒だから、先輩が寝るまでは眠ることができない。こっちはファームのデーゲームがあって早く眠りたい。だって昼間の試合を消化して、さらにナイトゲームも出なければならない。試合前の練習で汗を流して、さらに１軍の試合ですから。夜遅くなるとベンチで眠くて眠くて。考えてみると朝の８時からナイトゲームが終わるまで１３時間、球場にいたことになる（笑）。
　本当にそうですね。僕も経験がありますよ。とにかく眠かった。それでもって、結果出せって言われたって（笑）。キャンプでも野球漬けでしょう。でも夜間練習が終わるとやることもなくなって…。
　やっぱり、オールスターの話から脱線して、食べ物の話ばっかり（笑）。
　では、田尾さん。今年のオールスターの見どころは？
　そうだね、とにかくパリーグの投手陣は充実しているから、それをセリーグの打者がどう打ち崩していくか。この点かな。
　僕は巨人の投手陣と、パリーグ打撃陣の対戦に興味がありますね。
　野球選手ってさまざまな苦労を乗り越えて、一流選手に育ってオールスターに出場する。これが本当の夢だね。
　同感です。それにしても野球の話をしていると「クラッツ」が止まらない。ビールとの相性もいいからビールの味も格別！。では、プロ野球選手の栄光を祈って、カンパーイ！