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花粉症対策特集



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大久保先生が花粉症の疑問、質問に答えます!!

 花粉症について現在、多くの情報が飛びかっています。藁にもすがる思いでいろいろ試した人も多いかもしれませんが、まだまだ分からないことが多い病気で、すべての情報が正しいとは言えません。正しく見極める目を持ち、取捨選択することが大切です。 花粉症をはじめとする免疫アレルギー疾患の専門家、日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕先生に、皆さんの疑問、質問に応えていただきましたので、ぜひ参考にしてください。

日本では現在、どれくらいの人が花粉症ですか?

 全人口の約20%、5人に1人が花粉症だと言われています。しかし、東京都に限って言えば28・2%、3・5人に1人ととても高い数字になっています。

都会に多い病気なのですか?

 都会、田舎は関係なく、花粉量によります。東京だけでなく、関東、東海、近畿に多く、北海道、九州、沖縄は少ないです。一般的に樹齢30~70年ほどのスギが花粉を撒き散らします。戦後、日本には700万本のスギが植林され、国土の18%が植林スギ・ヒノキになりました。その木が今、大量に花粉を撒き散らしています。花粉は軽いので、かなりの距離を飛びます。遮るものがなく、いろいろな方面からの風を受けるということで、平野に集まりやすいといえます。
 沖縄にはスギが1本もないため、花粉症はほとんどありません。九州にはスギの木はありますが、戦後に植林されたものではないので、花粉はあまり出ません。北陸に植えられたスギは花粉を撒き散らさない種だと言われています。近畿はヒノキが多いので、ヒノキの花粉症が多いです。

花粉症は昔からあった病気ですか?

 昔からあるにはありましたが、ごく少数でした。最初に花粉症が認定されたのは18世紀のイギリス。日本では1960年代に初めて報告され、急速に広がりました。

全世界的に花粉症は増えているのですか?

 先進諸国では日本と同じように増えていますが、アジアなど発展途上国ではほとんど見られません。花粉症は体内に入ってきた異物に対して起こる過剰反応です。発展途上国ではまだまだ細菌が多く、抗体は体を守る本来の役割を担っています。結核で死者が出ている状態なのに花粉症は広まりません。抗生物質が使われている国、ある程度清潔な環境の中で起こる現代病といえます。

花粉症になる人の特徴はありますか?

 男女比では女性が多いですか、理由は分かりません。なりやすい体質や体型などこれといって特徴はありませんが、別のアレルギーを持っている人はなりやすいと言われています。最近は子どもの患者が急激に増えており、そのため、全体の数字が高くなっています。

これからずっと増え続けるのですか?

 今を100%と考えると、2050年にスギの花粉量が160%になり、そのころがMAXといわれています。どのくらいの人が花粉症になるのかは予想できていません。

花粉症を治す方法はありますか?

 薬物療法、鼻の粘膜を焼く、免疫療法など治療法はいろいろありますが、完全に治る方法はまだありません。その人の症状や体質、環境、抗体の量などさまざまなことを考慮し、組み合わせて治療することが良いかと思います。
 皆さんは花粉症の時期になって、思い出したように病院に来ますが、それでは遅いのです。皆さんの要望にそえるベストな方法を取るためには、前年の10月くらいから備える必要があります。その時期から医師とよく相談し、翌年の2月はじめ頃から薬物療法などでコントロールをすればほとんどの場合、症状は軽く済みます。思い出したように今の時期になって「治して!」と来ても、治療法が限定されてしまいます。

花粉症にならないために、気をつけること、すべきことはありますか?

 人は1日に約3万回、1分に約20回呼吸をしています。呼吸のたびに花粉を吸ってしまうとかなりの量になってしまいます。ですから、不用意に花粉を浴びない、不必要な外出を控えることが大切です。天気が良いからといって、お弁当を持って公園へ…というのは危険です。花粉はお昼ごろと日没の時間帯に多いので要注意! この時期は残念ですが、お弁当は社内で食べることをオススメします。 また、これが利く!などという食べ物などはありません。花粉症に限ったことではありませんが、均等に物を食べることが体には良いのです。すべてバランスが大事です。

ゴルフが趣味なのですが、ゴルフの時に気をつけることはありますか?

 やはり少しでも花粉を吸う量を減らすことです。サングラスやゴーグルの着用を習慣づけた方が良いと思います。今はかなりオシャレなものも出ていますので、ファッションの1つとして取り入れてみるのも良いかと思います。 また、ずっと外にいるような人はレーザーなどで鼻の粘膜を焼くのも効果的です。日帰りでの手術なので、負担は少ないと思います。

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◆大久保公裕先生のプロフィル◆

大久保公裕先生

1959年9月8日生まれの48歳。84年に日本医科大学、88年に同大学院耳鼻咽喉科を卒業し、89~91年にはアメリカ国立衛生研究所(NIH)に留学。00年から日本医科大学耳鼻咽喉科准教授。同時に、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会幹事や日本アレルギー学会理事なども務める。

 

~先生からのメッセージ~
 10歳の子と60歳の人、サラリーマンと主婦が同じ治療法で良いわけがありません。環境、立場が違えば治療法も違ってきます。花粉症かな?と思ったら、しっかり受診し、それぞれにあった治療法を模索、選択してください。