東京箱根間往復大学駅伝(2、3日)の注目点を紹介する連載「箱根のミカタ」最終回は、日本陸連の瀬古利彦長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(60)が登場します。東京五輪へ向けたマラソン復活を託されたレジェンドに、箱根駅伝で期待するランナーを挙げてもらいました。【取材・構成=上田悠太】

 この立場になると、箱根の見方も変わりますね。この年代は東京五輪に直結する。ここから出てこないと困りますからね。東京五輪のスタートラインもイメージして走ってほしいです。

 山登りの5区が短くなって、エース区間2区の見どころが増えましたね。まず注目はやっぱり青学大の一色恭志君(4年)。東京マラソン(昨年2月)では2時間11分45秒で日本人3位。バランスもいいです。距離を計算し、エネルギー効率がいい走りができる。あと寒くても暑くても走れ、安定感がある。故障に強く、練習も積める。バランスもいい。スピードをもう少しつけ、経験を積まないといけないですが、将来はマラソンで東京五輪、日本記録も狙える素質です。

 神奈川大の鈴木健吾君(3年)もいい。昨年10月の予選会で日本人最高の3位(20キロを58分43秒)で走った選手です。走りが軽い。ロードに強そうと感じます。自信持っていけば、力は一色君と変わらないと思います。彼もマラソンをやれば、東京五輪を目指せそうです。

 日体大は6区の秋山清仁君(4年)次第で上位に行く可能性がある。前回は6区で58分9秒の区間新をマークしましたが、また成長しました。一気に区間新を更新し「山下りの神」みたいになるかもしれないです。

 1年生では早大の補欠に入っている新迫志希君にスピードがありますね。(リオ五輪5000、1万メートル代表の)大迫のようなタイプ。バネのある走りをしている。長い距離は分からない部分もありますが、まだまだスピードは伸びるなと感じます。

 ◆瀬古利彦(せこ・としひこ)1956年(昭31)7月15日、三重・桑名市生まれ。四日市工高から76年に早大入学後、中村清監督の勧めでマラソン転向。箱根駅伝は4年連続2区で活躍。84年ロス五輪は14位、88年ソウル五輪は9位。マラソンは15戦10勝。引退後はエスビー食品陸上部監督を経て、13年4月からDeNA陸上競技部総監督。昨年11月より日本陸連の長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー。