陸上男子で04年アテネ・オリンピック(五輪)や17年世界選手権の100メートル金メダリスト、ジャスティン・ガトリン(37=米国)が16日、大阪市城東区の鯰江東小で特別授業を行った。19日にヤンマースタジアム長居で開催される「セイコーゴールデングランプリ(GGP)大阪」への出場を前に、同小6年の約70人とふれ合った。

まずは児童の前で、自身の少年時代を振り返りながらメッセージを伝えた。

「みんなと同じぐらいの年の頃は、五輪選手になると思っていなかった。自分より速い子もたくさんいた。だからといって、彼らに全て負けている訳じゃなかったんだ。常に学び続けること、諦めないこと。それをみんなにも持ってもらいたい」

次に準備体操が始まると、前に出て見本を見せる児童を数人指名。その際には「名前、何て言うの?」と話しかけ、ガッチリと握手した。再びマイクを握ると、体操服姿の児童に向けて大切な心構えを説いた。

「競争をする相手も、それまで自分と同じぐらい頑張ってきた人なんだ。そこに敬意を示すことも大切だよ」

最後はガトリンとの競争。児童は「ガトリン! ガトリン!」と大声でさけびながらアピールし、実際に並んで走ると、そのスピードの違いに「速すぎ!」と驚きの声がこだました。

ガトリンが大阪の小学校を訪問するのは2年連続。授業を終えると、汗を流しながら「本当に素晴らしい授業だった。去年の子たちと同じぐらい、ワクワクしながら取り組んでくれた」と笑顔で振り返った。

大阪市が実施している「夢・授業」の特別版として、授業中は終始、小学生に「夢」の大切さを伝えた。ガトリンにも、夢がある。

「今の夢はドーハの世界選手権(9月開幕)で好成績を残すこと。そして(20年の)東京五輪でも、いい成績を収めることが、私の持っている夢です」

04年アテネ五輪金メダルからは15年が経過し、東京五輪は38歳で迎えることになる。年齢との戦いについて問われると、柔らかな表情になった。

「そういう年齢との戦いはありません。結局はメンタルと姿勢。それがあったからこそ、ここまで戦ってこられました」

児童にはサプライズでセイコーGGPのチケットを手渡し、「絶対に見に行く!」という元気な声が運動場に響いた。

「第一には、子どもたちに私のレースを見て、楽しんでもらいたい。同時に刺激を与えられたらいい。陸上に関して、私は情熱を持って取り組んできたので、レースの中でその情熱を子どもたちが感じて、未知なる情熱を引き出したい。陸上だけじゃなく、何でもいいですが、彼らの『やりたい!』っていう情熱を引き出せたらいいと思います」

3日後のレースでは山県亮太(26=セイコー)らと競演し、その力を示す。