陶芸からヒントを得ろ!! 柔道の世界選手権(8~9月、ブダペスト)に向けた強化合宿を行っている男子日本代表が19日、神奈川県藤沢市で陶芸稽古に初挑戦した。

 ジャージー姿の筋骨隆々の選手たちが電動ろくろと向き合い、粘土と真剣に“対戦”した。約2時間、悪戦苦闘しながら慣れない手つきでグラスや茶わんなどを制作。工房から「ああ~あ」との声が何度ももれた。力みすぎて粘土を壊す選手も多数いたが、畳の上では見られない選手の表情があった。

 陶芸は強化合宿の一環として、精神集中と高いモチベーション維持などを目的に井上康生監督(38)が発案。「日本の陶芸技術は世界に誇れるもので、世界を目指す選手にとってそういった目線で見るのは大事かなと思った。(柔道においても)陶器のようにオリジナリティーをどれだけ作れるかが重要だと思う。何かを成功させるためには他と同じことをしていてもダメ」と意図を説明した。今後も陶芸のような「和稽古」を取り入れていくという。

 リオデジャネイロ五輪60キロ級銅メダルで、益子焼が有名な栃木県出身の高藤直寿(23)は「性格が出た。栃木人として恥ずかしいロックグラスになってしまったけど、過酷なトレーニングが続いていたため、良いリフレッシュにもなった。心から楽しめました」。66キロ級の阿部一二三(19)は「こんなに難しいとは思わなかった。油断すると形が崩れてしまい緊張感があった」と苦笑いした。

 25歳にして世界選手権に初出場する、73キロ級の橋本壮市は「手が震えて試合のようで、柔道に通ずる部分があると思った。湯飲みで早くポカリを飲みたい」と、リラックスした様子で語った。合宿は21日まで行われる。