日本サッカー協会(JFA)相談役で、元キャプテンの川淵三郎氏(81)が11日、ツイッターを更新し、アメリカンフットボールの定期戦で、日大の選手が悪質な反則行為で関学大の選手を負傷させた件について、内田正人前監督、井上奨前コーチが辞任した日大の現役選手たちに「これまで三年間教わって来たことを基に自分たちでチーム作りをやってみては?」と呼び掛けた。

 「日大アメフト部現役の皆さん。監督が見つかりそうに無くリーグ戦復帰は難しくなります。そこで四年生の皆さん! これまで三年間教わって来たことを基に自分たちでチーム作りをやってみては?戦術の指導書も山ほどあるでしょう。必死にやれば道は開かれます。身を投げ出して自分たちで立ち上がれ!」

 また川淵氏は巨人長嶋茂雄名誉監督が立大時代に、同大野球部が監督に辞任を求め、選手達がチームを自主運営したエピソードを紹介した。

 「事情はまるで違うけど55・6年頃長嶋さんが立大野球部下級生の時、砂押監督を上級生がやめさせた。59年立大サッカー部が監督を辞めさせ自分達だけでシーズンを乗り切り何と関東大学リーグで優勝した。大学生ならそれくらいの事が出来るはず。連盟もそれを認めてあげれば!四年生はその姿勢を示せ!」

 川淵氏は現在、Jリーグをはじめ日本社会人アメリカンフットボール協会が主催するXリーグなどボールゲーム9競技の日本の最高峰12リーグの競技力の向上と運営の活性化を目指した活動を行う、一般社団法人日本トップリーグ連携機構の会長を務めている。その立場から、問題が発覚後の5月23日にツイッターで「アメフトに詳しくない方は、昔この競技がいかに危険なスポーツだったかはご存知ない。最も盛んなアメリカでは脊椎損傷、脛骨骨折などで下半身不随、死亡事故が頻発していた」アメリカンフットボールが、いかに危険な競技かを訴えた。

 その上で「今は防具が発達し危険なタックルも禁止され事故は少ない。そんな危険な一面を持つアメフトの指導者は怪我に神経質な筈なのに」と反則を指示したとされる日大の内田正人前監督、井上奨前コーチら指導者を批判した。

 また、日大の宮川泰介選手(20)が前日22日に都内で開いた会見を受けて「あの前に彼が退部していたら何も明るみに出る事なく指導者はそのままだったと思うとゾッとする」と会見で同選手が状況を明かしたことを評価しつつ、事態が隠蔽(いんぺい)される可能性があったことを指摘し、批判的な見解を述べた。

 その上で「監督コーチの指示がどうであれ実行した選手が悪いのは事実だが」と、反則行為を実行した宮川選手にも非があると指摘しつつも「指示通りやるかアメフトを止めるか二者択一の状況に追い込まれた事がよく分かる」(コメントは原文のまま)と、宮川選手が精神的に極限状態に追い込まれていたであろうことに理解を示していた。

 川淵氏は11日に、日大アメフト部の選手に向けて、3回連続でツイッターで自主的な再建を呼び掛けた。最後に「日大アメフト部のキャプテン!座して死を待つよりは打って出れば!三年間嫌という程100以上のフォーメーションを練習して来たでしょう。例えリーグ戦で惨敗しても得ることが山ほどあるよ!」(コメントは原文のまま)とゲキを飛ばした。