SP世界最高得点で首位に立った羽生結弦(25=ANA)を2戦ぶりの「プーさんシャワー」が包んだ。

1人、2人、3人…。ピンクの衣装の少女たちがリンクに次々と飛び出しても、まだ足りなかった。黒の服を着た少し年上の女性たちも加わり、最終的には23人の「フラワーガール」が任務を担った。羽生の好演技をたたえ、続々と投げ込まれた「くまのプーさん」のぬいぐるみ。ファンの思いを、氷上の子どもたちが拾い上げていった。

次に驚きの行動を見せたのが羽生だった。1度はリンクを引き揚げたが、23人が拾っても、まだ残るプーさんを一緒に集めた。競技の進行の妨げを防ぐため、演技直後ながら心遣いを見せた。

前戦の全日本選手権(19年12月、東京)では「競技進行の都合およびお客様の安全確保のため」にリンクへの投げ入れが禁止された。羽生は同選手権後にファンへの感謝を語っていた。

「投げ込みが禁止っていうことがあって(これまで)すごくプーさんを投げていただいたりあったけれど、みなさんルールを守って、投げ込まないように注意をしてくれたり。スケートファン同士の中でいろいろあると思うんですけれど、そういうことを少しずつ守ってくれて。最後まで素晴らしい大会になって良かったと思います」

国際スケート連盟(ISU)主催の今大会は、従来通りに認められたプレゼントの投げ入れ。その中心でオリンピック(五輪)2連覇の王者は、柔和な表情を浮かべていた。