ヤマハ発動機(白組1位)は15-12でトヨタ自動車(紅組3位)を退け、逆転勝利でリーグ戦を3位で終えた。この日、今季限りの引退を発表したCTB宮沢正利(30)を中心に風下の前半を守備で粘り、後半の逆転につなげた。今季限りの退任を発表している清宮克幸監督(51)にとって最後のリーグ戦を勝利し、花道を飾った。なお、チームは来年1月にカップ戦の9位決定トーナメントを残している。

ヤマハ発動機が接戦をものにした。後半39分に3点リードすると、トヨタ自動車はキックオフで自陣右サイド奥に蹴りこんできた。残り1分、ミスが許されない中、ボールキープした。試合終了のホーンがなると、最後はSH矢富勇毅(33)がタッチラインに蹴り出し、選手たちは喜びを爆発させた。NO8堀江恭佑主将(28)は「先週の負けから立ち直るのは難しかったが、勝ちたい思いがあった。今週で最後の選手もいたので、やり切ろうと思った」と振り返った。

風下の前半を耐え抜いた。風が強くラインアウトでミスが起き、陣地回復を狙うキックがタッチラインを割らずにカウンターを受け、劣勢に立たされた。しかし、170センチ、80キロの宮沢がタックルで相手の攻撃を止めた。「ある意味、同期の清宮さんのために体を張りました」と話した。

清宮監督が就任した11年に入社。昨季終了時、今季限りの引退を会社に伝えた。CTB小林広人(26)など後輩の台頭や、自分自身のパフォーマンスに満足できなくなったことなどで決意した。この試合でヤマハ発動機100キャップを達成し、「小さくて足が遅いけど、ずる賢くやれば、身体的なものはカバーできる」と胸を張った。

宮沢の奮闘に若手BK陣が応えた。後半24分、SO清原祥(25)のトライで12-12の同点。同32分、FBゲリー・ラブスカフニ(23)がハーフウエーライン上やや右からPGを狙うも左に外し、同21分に続いて連続で失敗した。同39分、ゴール正面やや左から約50メートルのPGを沈め、三度目の正直で勝ち越した。

リーグ戦を3位で終了。来月のカップ戦は9位決定トーナメントで、優勝争いからは遠のく。それでも宮沢は「あと2試合出るつもり。いろいろ経験させてもらったラグビー人生のラストを楽しみたい」と、社業専念の前にもう一汗かく。【大野祥一】