開幕2連勝の日本代表や、オールブラックスの愛称を持つニュージーランド代表の髪形を支える理容室が東京・神田にある。「THE BARBA TOKYO」はSO田村優(30=キヤノン)ら、日本代表の多くの選手の髪を切る。オールブラックスに至っては、ボディーガードなどのスタッフを含め35人も切った。なぜトップ選手たちが神田に集まるのか。オーナーでスタイリストのTOMさん(37)に聞いた。

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きっかけは4年前。ラグビーワールドカップ(W杯)イングランド大会直後、田村優らが突然来店した。TOMさんは「『ガタイいいですね』って話してたら『一応ラグビーの代表なんです』って言われて。そこから堀江(翔太)選手だったり、サンウルブズの選手たちを田村選手、山中選手が連れてきてくれました」と感謝した。

今では口コミで約70人のトップリーグ所属の一流選手が通うようになり、自分で切っているというリーチ・マイケル主将らを除いた多くの選手の髪を切るという。ラグビー選手はひげも含めた髪形へのこだわりが強いようで、シーズン中は試合前に週1度は切りに来るという。日本代表はW杯開幕後すでに2回来店している。

選手にとってはルーティーンの一環のようだ。活躍する司令塔の田村は髪もひげも全て、TOMさんにお任せだという。とにかくストイックで、練習後に来ても「疲れた」などの愚痴は一切聞いたことがない。「まさに“ナイスガイ”ですね。クールで口数は多くないですが、海外遠征の度にお土産を買ってきてくれます。気遣いの男ですね」。アウトドア好きのTOMさんの誕生日には、キャンプ用のハットをプレゼントしてくれた。「スタイリスト全員の名前も覚えてくれていますし、お客さんに話しかけられても快く応じてくれます」。

今大会ではロシアとの開幕戦の2日前(18日)に多くの選手の髪を切った。「皆リラックスはしてましたけど、ロシアをリスペクトして、油断はしていませんでしたね」と大会直前の様子を教えてくれた。サモア戦に向けては、2日に約20人が来店したという。オールブラックスも散髪に来ており、日本が決勝トーナメント進出を決めれば、日本-NZのカードも実現する可能性がある。その時にはどちらを応援するのか。「答えづらいですね。そこはノーサイドで。両チームともベストを尽くしてもらえれば。かっこよく切ってラグビー人気に貢献したい」と、スタイリストらしく答えた。【佐藤成】

◆THE BARBA TOKYO 2013年4月2日創業。千代田区内神田の本店THE BARBA TOKYOの他、dunhill BARBERなど3つの支店展開している。「Barber(床屋)ならでは癒しと安らぎ」をコンセプトにシェービングやリラクゼーションメニューなども充実した『大人の上質な時間』を提供する。東京都千代田区内神田3の4の12 トーハン第7ビル1階。