ゲームへの熱意で結ばれた、異色タッグの誕生だ。２０日までＤＷＣ日本代表のスペシャルサポーターの座を争っていた２人が、運営側の粋な計らいで電撃タッグを結成。初出場初優勝を目指す日本代表にとっては、心強いことこの上ない。伊藤はライバルを「中国ですね」と見据えた上で「絶対に勝てると思います。その実力はあると思う」と太鼓判を押した。ダッチャーも「実際にゲームをしたからこそ分かるのですが、代表決定戦では本当にすごいプレーをしていた。世界にはもっとすごい人もいると思いますが、日本に胸を張って帰ってきてほしい」とエールを送った。

　約１カ月半、ドラゴンネストの世界に没頭したからこそ、応援にも熱が入る。伊藤は８０時間、ダッチャーは１００時間超プレーし、ユーザーと交流もした。伊藤は「ユーザーさんたちにゲームの中で、一から教えてもらいました。自分は全然弱いのに、パーティーも組んでもらって。感謝で泣きそうになりました」。ダッチャーも「ゲームの中でダッチャーのしゃべり方をまねしてくれたり、ゲーム外からも応援メッセージを送ってくれたりして、とてもうれしかったです」と振り返った。ユーザーから受けた恩を、今度は日本代表へのサポートで返す番だ。

　異色タッグの未知なる力は、運営側も期待する。日本でのサービスを運営するＮＨＮ　ＰｌａｙＡｒｔのハンゲ太郎氏は「初参戦の日本代表が世界の舞台で羽ばたけるよう、おふたりならではの強力なサポートをお願いします」とコメントした。過去には７０万人が同時にプレーしたこともあるドラゴンネスト大国の中国、前回準優勝のシンガポール、オンラインゲームが盛んな韓国と強敵は多い。日本代表も実力はある。だが、異国の地、さらにオフラインでの大会となれば、普段の実力が出ないこともある。そこを支える役割を任されたのが、この２人だ。

　決戦は１２月４日からの２日間。１つのミスが勝敗を分けるシビアな戦いが続く。日本代表に向けて、伊藤が「せっかくつかんだチャンスなので、逃してほしくないです ！ 」と気合を入れれば、ダッチャーも「バリ島に行くだけで満足してほしくない」とハッパをかけた。目指すは世界一のみ。日本代表とサポータータッグ２人が、応援メッセージ入りの日の丸とともに、決戦の地バリに乗り込む。

　◆ドラゴンネスト　ドラゴンネストは、１０年６月に国内でのサービスが開始されたマルチプレーヤーオンラインゲーム（ＭＯＲＰＧ）だ。開発はＥｙｅｄｅｎｔｉｔｙ　Ｇａｍｅｓ（韓国）で、日本国内ではＮＨＮ　ＰｌａｙＡｒｔ運営のハンゲームでプレーすることが可能。韓国、中国など世界９カ国・地域で展開している。ストーリーは、古代から言い伝えられた「暁の預言者」誕生の前兆により起きた２つの事件に巻き込まれるところからスタートする。プレーヤーは職業を選択。単独で魔物と戦ったり、他のプレーヤーとパーティーを組んで戦ったりすることで、ストーリーが進んでいく。爽快なアクションコンボ、豪華な声優陣が登場する点も人気の理由となっている。また同ゲームでは、プレーヤー同士が対戦するＰｖＰ（Ｐｌａｙｅｒ　ｖｅｒｓｕｓ　Ｐｌａｙｅｒ）も楽しむことができる。１２月の世界大会「ＤＷＣ２０１４」も、チーム対抗によるＰｖＰで競われる。

　◆ＤＷＣ（Ｄｒａｇｏｎ　Ｎｅｓｔ　Ｗｏｒｌｄ　Ｃｈａｍｐｉｏｎｓｈｉｐ）２０１４　ドラゴンネストのＰｖＰ世界大会で、開催は今年で２回目。今回の開催地はインドネシアのバリ島。７つの国・地域から計８チームが参加、世界の頂点を目指して、競い合う。優勝賞金３万ドル、賞金総額は５万ドル。試合形式はチーム対抗戦で１チームは４人構成。１人ずつ戦う勝ち抜き戦、４人対４人で同時に戦うラウンド戦の２種類があるので、メンバー個人の能力、チームとしての総合力の両方が問われる。８チームが２グループに分かれて総当たりを行い、各グループ上位２チームが準決勝へ。さらに勝ち抜いた２チームで世界一を争う。競技は１２月４、５日の２日間。