【ダラス(米テキサス州)5日(日本時間6日)=広重竜太郎、四竈衛、佐藤直子通信員】大リーグ関係者が一堂に会するウインターミーティングが開幕し、FA市場が動きはじめた。アスレチックスからFAとなった松井秀喜外野手(37)について、ア軍ボブ・メルビン監督(50)が今オフ、ニューヨークで松井と2回食事をともにしたことを明かし、改めて残留へのラブコールを送った。先発補強を目指すツインズが、岩隈久志投手(30)和田毅投手(30)の「ダブル獲得」を狙っていることが明らかになった。

 去就問題が長期化する中で、松井とメルビン監督の絆は固く結ばれていた。指揮官は会見で松井の今季の活躍を改めて称賛。松井を含めた外野4選手がFA流出する可能性も示した上で「ドアは閉じてはいない」と残留の道も残されていることを強調した。

 オフにはともに自宅のあるニューヨークで2度も会食。シーズン終了直前に交わした約束を実行に移した。1回目は松井が紹介したすし店。「今まであまりすしが好きじゃなかったが、本当においしかった。もう他のすし店には行けないよ」と言うほど魅了された。2日にはメルビン監督がお薦めのイタリアンに松井を連れてお返しした。

 ビーンGMも扉を閉じたわけではない。DHは若手を起用する案も持っているが「正しい値段でチームを助けてくれる選手ならば(ベテランも)考える」。松井の市場価値としても今季425万ドル(約3億1900万円)からは大幅ダウンが確実。適正価格での残留オファーなら、松井は決して高い買い物ではない。

 FA市場の松井に対する評価も現段階では鈍い。ア・リーグで状況的に移籍候補となるオリオールズとレイズは松井獲得に否定的なことも判明。リストアップを認めているオ軍もショーウォルター監督が「うちのチームにはマッチ(合致)しない」と否定した。レイズもデーモンとの残留交渉を最優先としている。

 メルビン監督は「松井なら(指名打者のない)ナ・リーグからも声がかかる。外野や代打、すべてをこなすのは若手には難しいからね」と実力を再評価。指揮官の声がビーンGMの心に響けば、松井の去就も道が開ける。【広重竜太郎】