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薬物疑惑日本にも波及カブ、リグスらも
メジャーの薬物スキャンダルが、日本球界にも飛び火した。米大リーグは13日(日本時間14日)、薬物使用に関する調査書「ミッチェル・リポート」(元米上院議員ジョージ・ミッチェル氏による調査)を公表。現在、審理中のバリー・ボンズ外野手(43)をはじめ、ロジャー・クレメンス投手(45)ら引退した選手を含め90選手の使用疑惑が明らかになった。その中にアレックス・カブレラ内野手(35=元西武)、阪神ジェフ・ウィリアムス投手(35)、ヤクルト・アダム・リグス内野手(35)ら日本で活躍する選手も含まれており、米国にまん延する「薬物禍」は日本にも衝撃をもたらす大騒動となった。
衝撃的な内容だった。昨年3月以来、大リーグ機構の依頼を受け、調査を進めてきた元上院議員ジョージ・ミッチェル氏による「ミッチェル・リポート」が1年9カ月後、発表された。その中には、通算354勝のクレメンスをはじめ、762本塁打のメジャー記録を持つボンズらMVP受賞者8人、球宴出場者33人を含む大物選手の名前も記されていた。
大物メジャーリーガーだけではなかった。さらなる衝撃はカブレラ(元西武)、ウィリアムス(阪神)、リグス(ヤクルト)、アレン(元オリックス)ら今季、日本球界に在籍した選手が含まれていたことだ。リグス、ウィリアムスは日本プロ野球組織(NPB)が実施した過去の抜き打ち検査で、すべて陰性反応を示していただけに驚きも大きい。また横浜が獲得を決めていたL・ビグビー外野手(3Aリッチモンド)も含まれ、横浜サイドも急きょ対応に追われるなど、慌ただしい1日となった。
409ページにも及ぶ調査報告書は、カテゴリーごとに3種類に分別。(1)ボンズの裁判にも関連する「バルコ」社によるもの(2)元メッツのクラブハウス職員で違法薬物の販売・配布などの罪で逮捕・起訴されたラドムスキ氏らの証言によるもの(3)インターネットなどて禁止薬物を購入したもの、に分けられ、それぞれ選手名と使用・購入経緯などを列記している。
大リーグは、03年から薬物検査を導入し、04年からは罰則を適用した。その一方で、かつて連邦判事などを務めたミッチェル氏に本格的な調査を依頼。テレビの公共広告などでも薬物撲滅を訴えてきた。調査結果を発表したミッチェル氏は「これまで10年以上にわたって、大リーグでは違法な薬物が使われてきた」と鋭く指摘。セリグ・コミッショナーに対し、名前の挙がった選手に罰則を科さないように伝える一方で、独自の調査機関の設立など、複数の方法で薬物対策を強化するよう勧告した。
今回の調査書には、ボンズ、クレメンス、ペティット、テハダ(アストロズ)ら現役のトップメジャー選手だけでなく、カンセコ(元アスレチックス)ら引退した名選手がズラリと並んだ。これまではマイナー選手を中心に使用が判明した時点で出場停止処分が下されてきたが、あらためて大リーグ全体に薬物禍がまん延していることが浮き彫りとなった。
今後、ボンズの762本塁打をはじめとする記録の正当性、殿堂入り資格などを疑問視する声が挙がることは避けられない。過去数年、観客動員増を続ける大リーグが、新たな窮地に立たされた。
[2007年12月15日9時5分 紙面から]
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