<ナ地区シリーズ:ドジャース3-1カブス>◇第3戦◇4日(日本時間5日)◇ドジャースタジアム

 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=四竈衛、佐藤直子通信員】ドジャースがカブス相手に3連勝を飾り、ナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。プレーオフ初先発の黒田博樹投手(33)が、6回1/3を6安打無失点の好投。勝利投手となった。名将ジョー・トーリ監督(68)は観衆を前に「あと8勝する」と88年以来の世界一奪取宣言をした。カブス福留孝介外野手(31)は途中出場で黒田から意地のプレーオフ初安打を放ったが、流れは変えられなかった。ドジャースは、9日(同10日)からのリーグ優勝シリーズで「フィリーズ対ブルワーズ」の勝者と対決する。

 頭上から容赦なく襲ってくるシャンパンの泡を浴びながら、黒田は充実感に浸った。地元ロサンゼルスのマウンドで手にしたプレーオフ初勝利。「たまたま良かっただけ。今日は調子は良くなかった。球場の雰囲気、1、2戦目の勝ちで乗せられて、こういう投球ができたと思う。試合が終わった瞬間は、夢の中にいるような気がしました」。会見でも終始笑みを絶やすことなく、101球の会心投球を振り返った。

 シカゴで連勝し、「王手」をかけて臨んだ第3戦。チームとしては断然優位でも、先発マウンドを預かる黒田は重圧も感じていた。「いつも以上に緊張しました。ただ、初回を抑えられて、なんとか抑えられました」。日米通して初のプレーオフ。身震いするような重圧は、腕を強く振り切ることで吹き飛ばした。

 球数も、イニングも考えず、初回から飛ばした。「こういうマウンドを目指してこっちに来たので、気持ちも高ぶっていた。気合は自然に入ると思ってましたから」。1回表2死一、二塁の場面では、最速96マイル(約155キロ)を計時。ピンチを脱するたびに、右拳を握り締めた。広島時代からモットーにしてきた「気」を前面に出して、打者に立ち向かった。

 冷静な投球プランも練っていた。6月6日のカブスを4安打完封した時は、得意のスライダーで手玉に取った。特に、右打者に対して、外角ギリギリで曲がるイメージを植え付けた。その強烈な残像を、この日は逆利用した。内角へ切れ込むシュートで詰まらせ、高速フォークでタイミングを崩す。「スライダーを使わなくてもいいように投げられました」。試合前、捕手マーティンと打ち合わせた通りの投球だった。

 試合終了直後には、トーリ監督にしばし抱き締められ、ねぎらいの言葉をかけられた。「チームの役に立てた分、充実感はあります」。シャンパンファイトの合間には、グラウンドへ飛び出し、マイクを手に、地元ファンへメッセージを送った。「My

 name

 is

 Hiroki

 Kuroda.Thank

 you」。たとえ流ちょうな英語でなくても、黒田の感謝の気持ちは、ロサンゼルスのファンの胸に届いていた。【四竈衛】