阪神ドラフト2位右腕、石崎剛投手(24=新日鉄住金鹿島)が開幕ローテーション入りを決定的にした。昨年の日本シリーズ再現となったソフトバンク戦(日刊スポーツ新聞社主催)に先発し5回を無失点。6安打ながら7三振と2併殺で切り抜け、主力が並んだ昨年の日本一打線を封じた。実戦向きな先発適性を示し、ローテーション5、6番手争いで大前進した。

 石崎がルーキーらしからぬ強心臓を見せたのはプレーボール直後だった。1回2死一塁。内川へカウント2-2からの5球目以降。速球で押しファウルで粘る応酬が4度あった。それでも逃げない。最後は詰まらせながら右前に運ばれたが、首位打者2度の好打者が「真っすぐで押してきていた。勢いがあるし、楽しみです。天候がいいときに見てみたかったですね!」と心意気に感じ入った。

 2死一、三塁のピンチで李大浩を迎えたが、動じない。最後は外角直球で空振り三振。5回は2死から3連打で満塁とされるが代打明石を空振り三振。新人離れしたマウンドさばきで、無失点に抑えた。

 昨秋日本シリーズで苦杯をなめたソフトバンクはレギュラーがズラリ。迫力満点のラインアップにもひるまない姿に柳田も「今日でも十分、速かった。天気が良ければ、もっと…」と評する。球数79球、7奪三振。中盤には最速148キロをマーク。立派な内容にも石崎自身は開口一番、「点を取った後、簡単に四球を出してしまいました。先頭を取ることができなかったのは心残り」と反省した。

 1日には甲子園でマートンから内角を攻めるよう、助言されていた。忠実に胸元を突いて、やすやすと踏み込ませなかった。「そのアドバイスをもらわなかったら、今日、どうなっていたか」と感謝。4回には内川に内角攻めを徹底し、二塁併殺打に抑えた。

 和田監督は「今のところは申し分ない。球だけじゃなく、マウンド上でのしぐさとか、見ているけど、バタバタしないし、向かっていく気持ちが出ているしね」。5年目岩本らと開幕ローテを競う立場から、一気に大前進。それでも石崎は「欲をかいてない。あまり意識していない」と言った。次回は10日からの教育リーグ・ソフトバンク2連戦(鳴尾浜)で85球前後の投球を検討。間断なく雨が降り、マウンドはぬかるんだが、剛腕ルーキーの強さばかりが際立った1日だった。【酒井俊作】

 ◆阪神新人の開幕ローテーション入り 石崎が入れば13年藤浪、昨年の岩崎に続き3年連続。近年では02年安藤、05年能見、07年小嶋らがいる。安藤は開幕8戦目、能見、小嶋、藤浪は3戦目、岩崎は6戦目で先発している。

<石崎剛(いしざき・つよし)アラカルト>

 ◆出身 1990年(平2)9月9日、茨城県。

 ◆球歴 三和北中の野球部では主に「6番投手」を務め、三和高3年夏は10球団26人のスカウトの前で1回戦敗退。控えなしの部員9人で戦った2年秋から3年夏にかけて430イニングで618三振を奪って注目されていた。

 ◆球速 最速151キロ。球種はスライダー、カットボールなど。

 ◆ニックネーム フーちゃん。

 ◆特技 板金業者並みの車いじり。昨年12月の新入団発表ではビートたけしの愛車で有名な高級車ブガッティ・ヴェイロン(2億円相当)購入野望を明かす。

 ◆サイズ 182センチ、85キロ。右投げ右打ち。腕を広げた長さが身長より長い。

 ◆50メートル走 6秒2。

 ◆遠投 110メートル。