うれしい初セーブのウイニングボールは“お返し”だった。楽天松井裕樹投手(19)は記念の1球を「いいの?」と照れる大久保監督に笑顔で渡した。2点リードの9回、松井裕の名前が球場に響く。右翼スタンドの大歓声にも、12球団最年少の守護神は気後れすることはなかった。「ストライク先行で自分の投球をやりきった」と簡単に2死を取る。最後は近藤をコースいっぱい、内角低め128キロのスライダーで見逃し三振に仕留め、ポンとグラブをたたいた。

 昨年7月2日、代行監督だった大久保監督の下でプロ初勝利を挙げた。5回途中から中継ぎで登板し、2回1/3をピシャリと抑えた。試合後、ねぎらいの言葉とともに指揮官からウイニングボールを手渡された。「どんな形でも良いので、返したいと思いました」と次は自分が勝利を届ける番だと誓っていた。

 2年目の今季、先発から守護神という大役を任された。当初は戸惑いもあった。「でも、やるしかない」。投げる場所が変わっても、勝利に貢献することには変わりないと切り替えた。プロ初セーブに「あの頃より自信がある。マウンドでも堂々と出来るし、ボールも変わってくる」と胸を張った。大久保監督も「本当に期待通り。成長したよ」とたくましくなった姿に目を細めた。