伝統の一戦のメモリアル白星は、この男がもたらす。巨人菅野智之投手(25)が30日、阪神戦の通算1000勝達成に意欲を見せた。ローテーション通りにいけば、球団通算999勝で迎える4月3日の阪神戦(東京ドーム)に中6日で先発予定。昨季は原監督の通算800勝を飾るなど節目でも結果を残した右腕が、再び巨人の歴史に名を刻む。

 阪神戦1000勝に王手をかけていることを知り、菅野は驚きを隠せなかった。「そうなんですか? 僕は何勝何敗ですか?」。2年間で7試合に先発し、3勝2敗。999分の3という数字に、伝統の一戦の重みを感じ入った。今季の阪神との初戦は、今季2度目の先発が予想される4月3日。先人たちが積み上げてきた白星の大きな区切りを刻める可能性が高く、「そうなればいいと思います」と口元を引き締めた。

 大きな節目が巡ってくる星の下に、いるのかもしれない。昨年4月4日、伯父でもある原監督の監督通算800勝が懸かる大一番で、先発登板が回ってきた。130球の熱投で中日打線を8回無失点に抑え、開幕戦からの2連勝で記念すべき白星をプレゼントした。

 今季も開幕戦勝利後の自身2戦目でメモリアルゲームと、状況は似ている。「去年、節目の時に回ってきましたね。監督の800勝の時もそうですしね」。阪神戦は勝ち越しているだけに「そんなに悪いイメージはないですね」と節目の勝利達成に好条件がそろう。それでも「マートンとゴメスが調子いいですし、福留さんも調子が良さそう。前に走者を出さないようにしたい」と隙は見せない。

 調整にも余念がない。この日はジャイアンツ球場での投手練習前、1人でポール間のダッシュを10本繰り返した。27日のDeNAとの開幕戦で死球を受けた左上腕部には、青あざと痛みが残る。それを意に介さず、練習では約60メートルの距離で体全体を使って遠投してフォームを確認するなど、妥協なく終えた。「コンディションを整えるのが一番です」と、状態をまだまだ上げていく貪欲さは十分。球団81年の歴史の新たな1ページを開く日に向かって、菅野が着実に歩を進めていく。【浜本卓也】