7連敗と泥沼の日本ハムに「ひとり神風特攻隊」が誕生した。栗山英樹監督(53)が11日、札幌市内で行われた球団が実施する読書促進キャンペーンのトークショーに参加。今日12日からのロッテ3連戦(札幌ドーム)の3戦目で先発起用する斎藤佑樹投手(26)に、突撃命令を下した。作家・百田尚樹氏のベストセラー小説になぞらえて起爆剤に期待した。

 栗山監督

 斎藤を見ると「永遠の0」を思い出すんだよね。

 完全終戦までの頼みの綱になる。7月31日ロッテ戦で12年6月6日以来、785日ぶり白星を手にした佑ちゃんに、突撃指令が下った。14日に同じ相手には再度、先発で「ひとり神風特攻隊」として任命した。

 第2次世界大戦の語りぐさ「神風特攻隊」で有名な、零戦(ゼロセン)を操縦した海軍航空兵が小説のテーマの1つ。斎藤に姿を重ね、周囲の胸を打つようなマウンドで見せる生きざまが、低空飛行から復興するパワー源になるとにらんでいた。2・5ゲーム差へ肉薄されたロッテ3連戦でCS進出圏内を死守し、さらにまた上位を射程圏へ。斎藤がつくる勢いが、戦闘態勢を再整備する秘策とみる。

 窮地に立つ今、理想の男のロマンを再現したい。栗山監督は、かつて春季キャンプで沖縄へ向かう機内で「永遠の0」を読み、涙した。「ボロボロに泣いてさ。それをスチュワーデス(キャビンアテンダント)さんに見られちゃって」。少し恥ずかしい経験談だが、国を背負う人間の決死の思いに傾倒した。科学で解明できないパワーを、時に放つ斎藤にチームを鼓舞する大役を任せた。熱血漢の大将は、佑ちゃんの気概に、野望を乗せて出撃する。【高山通史】