球界最年長がネバーギブアップを宣言した。2軍調整中の中日山本昌投手(49)が11日、49度目の誕生日を迎えた。休日にもかかわらずナゴヤ球場で練習し「最後まで(気力を)振り絞る」と、誰よりも元気な49歳の誓いを立てた。チームは巨人に負け越し、自力優勝の可能性が消滅。経験豊富な大ベテランが、追い込まれた竜の救世主になる。

 生クリームたっぷりのバースデーケーキを前に、山本昌は満面の笑みを浮かべた。「うれしいね~。これ本当にもらってもいいの?

 ケーキ好きなんだよ。でも49歳はうれしくないけどね」。大好きなケーキの上には4と9のロウソク。「球界のシーラカンス」を自称する大ベテランが、現役選手として49度目の誕生日を迎えた。

 本当ならおめでたいはずのスペシャルデーだが、素直に喜べない。今季はまだ1軍のマウンドを踏んでいないのだ。8・11の時点で1軍登板なしはキャンプで右足首を痛めシーズンを棒に振った11年以来、3年ぶりだ。春先から調子が上がらずミニキャンプを張った。登板予定だった前日10日のウエスタン・リーグ、オリックス戦も台風の影響で中止になった。

 何度もくじけそうになる場面に見舞われても前を向く。それがプロで31年目を迎えた長寿の秘密なのかもしれない。49歳の誓いもシンプルで前向きだった。

 「少しでもチームのお役に立てるように頑張りたい。最後、振り絞って頑張っていきたい」

 この日の昼すぎ。山本昌は台風一過のナゴヤ球場に現れた。ウオーミングアップ、キャッチボール。そして決め事にしている10本のダッシュメニューを黙々と消化した。グラウンドに他の選手はいない。2軍の練習はオフだったが、当たり前のように休日を返上。歩みを止めることはない。

 投手陣の危機的状況は、もちろん承知している。先発投手は9日巨人戦に山井が勝利投手になるまで12戦連続で勝ちがつかない異常事態だった。守護神岩瀬とエース吉見が離脱し、セットアッパー浅尾も不振で2軍調整中。巨人3連戦に負け越した前日10日にはチームの自力優勝の可能性がついに消えた。竜党の昌待望論はシーズンが佳境に向かうにつれて高まる。

 「調子も悪くない。動きもいいしね。頑張るよ」

 ここまでウエスタン・リーグでは10試合に投げ1勝4敗、防御率5・77。明日13日か、明後日14日に登板するウエスタン・リーグ阪神戦が昇格テストとなりそうだ。1軍に上がれば、球界最年長登板&最年長勝利の期待もかかる。49歳になった背番号34は最後の最後まで諦めない。【桝井聡】