<日本ハム9-5楽天>◇21日◇札幌ドーム

 涼しげなえり足に、心地よい風を何度も感じた。日本ハム西川遥輝内野手(22)がバットで試合をひっくり返し、足で楽天を突き放した。1点差に迫った2回2死二、三塁で逆転の2点中前適時打。一塁走者となり、本領発揮だ。続く中島の打席で二盗に成功。武器の俊足で一気に好機を広げて、4点目のホームを踏んだ。「僕の良さは足でかき回すこと」と、4回も中前打で出塁し、すぐさま二盗。持ち味を生かして序盤の大量得点を演出した。

 絶不調から、はい上がった。6日オリックス戦(帯広)では打撃不振に加え、守備でもミス。試合途中で屈辱の“懲罰交代”をさせられた。試合後、周囲はあえて静かに見守った。先輩の1人、飯山は振り返る。「本人が一番分かっているから」。次カードのソフトバンク3連戦はスタメン落ちも、反骨心がわき上がるのを待った。

 周囲の期待も自覚している。19日楽天戦(旭川)前には、ややえり足が長めだった髪形もバッサリ。イケメンとしても若い女性から人気だが「これ以上切る髪がない」と言うほど短くした。最近は鏡を見てもスイングの軌道を確認することばかり。おしゃれより野球に真剣に向かい合う決意の散髪だった。これで8試合連続安打で盗塁数は29でリーグ単独トップに躍り出た。「シーズン終盤で、こういう形になったので狙いたいと思います」。お立ち台で宣言した初の盗塁王も視野に入ったリード・オフ・マンが、上位追撃の旗印になる。【木下大輔】