<西武3-8楽天>◇13日◇西武ドーム

 西武誠投手(20)が2年目での初1軍マウンドを全身で感じた。投球前に両手を広げ深呼吸してからキュッと口元を引き締める。1回、先頭松井稼に141キロの直球から入り、4球続けた直球で遊飛に仕留め、初のアウトカウントを積み上げた。2死後に洗礼を浴びた。岡島にフォークを拾われ二塁打されると、主砲ジョーンズに先制2ランを食らった。

 球団とチームメートへの感謝を示したかった。12年ドラフト指名後に道交法違反で入団が遅れ、昨オフは未成年ながら飲酒喫煙が発覚。ユニホーム着用禁止、6カ月の対外試合出場禁止の処分を受けた。「今までいっぱい迷惑をかけてきたので自分は恩返しというか、プレーで挽回するしかないと思っていた」。自らの甘さから犯した一連の行動を悔いた。だから、必死に腕を振ってわびたかった。

 思いとは裏腹に毎回の4失点で3回途中でKO。悔しさと情けなさ、力不足を痛感させられ、「持ち味の制球が生かせなかった。森のリードにも応えられませんでした」と唇をかんだ。同時に「いい勉強になりました。またチャンスがもらえたら長いイニングを投げられるようにしたい」と真っすぐ前を見た。遠回りを挽回する誠の戦いが始まった。【為田聡史】