日本ハムの前守護神・武田久投手(36)が異例の大幅減俸を受け入れ、来季も現役続行することが21日、分かった。今季の推定年俸2億4000万円から1億6000万円減の8000万円プラス出来高払いで、球団と合意した。CSで旋風を巻き起こした世代交代の波と闘い、リーグを代表する中継ぎのスペシャリストが来季、復権をかける。

 最多セーブ3度、最優秀中継ぎ1度のタイトルホルダーが、プライドをかなぐり捨て、進退を決めた。チームが2年ぶりAクラス、日本シリーズ進出まであと1歩だった今季。わずか9試合登板にとどまった。昨季まで守護神に君臨したが、4月にインフルエンザ発症などもあり不振。当時「以前のように抑えられなくなった」とも、漏らした。

 球団側とシーズン終盤に水面下で会談。一時は引き際との考えもよぎったが2軍で出直しを期し、再起への手応えを得た。「来季もやれる。やりたいと思った」との意思を伝え、大減俸を受ける覚悟を申し入れた。球団も功労者であり、来季も戦力として見込めることから、その思いを尊重。減額制限(年俸1億円以上は40%)を超える条件を提示した。信頼が厚い栗山監督の「武田久は、まだまだ力になってくれる」との評価と、強い希望もあり合意へと至った。

 武田久はCSへの同行を辞退し、この日までフェニックスリーグ中の若手とともに鍛錬を積んだ。「野球をやりたいという気持ちがある。もう1度、抑えをできるように勝負したい」。実績を度外視して13年目の来季へかける。

 ◆大幅ダウン

 自由契約などによる移籍ではなく、同一球団に所属したままで年俸が1億5000万円以上ダウンした選手は過去6人だけ。最近では昨年の小笠原(巨人)が3億6000万円下がった。野球協約で年俸1億円を超える選手は40%を超えて減額されることはないと定められているが、選手が同意すれば制限を超えた減額は可能。