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紙面企画

事件記者清水優 ブラジル体当たり

事件記者清水優 ブラジル体当たり

◆清水優(しみず・ゆたか)1975年(昭50)生まれ。38歳。東京外大ポルトガル語学科卒。98年入社。静岡支局、文化社会部、朝日新 聞社会部警視庁担当を経て、文化社会部に帰任。事件、事故など中心に行き当たりばったりながら体当たりで取材。体重95キロ。

始まった「王国」のカーニバル


 【サルバドル12日(日本時間13日)】サッカーW杯ブラジル大会が開幕した。人口約2億人の国内各地は熱狂的な盛り上がり。ブラジルで最もアフリカ文化が色濃く、祭り好きの街として知られるバイーア州サルバドルのパブリックビューイング(PV)会場に潜入。入りきれない人々が近くの路上にあふれ、満員電車のようなすし詰め状態でも跳びはね、絶叫。サッカー大国の地元開催W杯の熱気を体感した。

 大西洋に面した港町。旧市街の細い石畳の道路は、黄色いシャツのブラジル人で埋め尽くされた。PV会場が設置された町の中心部、ペロリーニョ地区の旧市街には1万5000人を超えるブラジル人や翌日に試合を控えるオランダやスペインなどのサポーターが集結。会場に入りきらない人々が、急な坂道で押し合いへし合いし、跳びはね、絶叫し、踊り狂った。

パブリックビューイング会場にたどり着けず路上からバーのテレビで観戦する人たち

 熱帯の強い雨が降ってくる。誰も気にしない。汗だか、雨だか、ビールだか分からないぐらいびしょびしょだ。黒い顔、白い顔、茶色い顔が、湿った体をこすりつけ合いながら、試合を応援した。

 会場には、サルバドルを拠点とする世界的なアフリカ系パーカッションバンド「オロドゥン」も登場。得点が入るたびにドラム缶を半分に切ったような大太鼓スルドや、甲高い音の小太鼓ヘピーキを打ち鳴らした。

 試合後のショーのためにサンバの女王姿で観戦した地元バンド「マレー・ジ・バレー」の今年の女王ジェジ・ジャニさん(23)は「勝っても負けてもなんでも祭りになるけど、ブラジルは優勝すると信じてる」と話した。

「女王」ジェジさん(左)と歌手のカリーナさん(撮影・清水優)

 バイーア州は、旧宗主国ポルトガルのカブラルが1500年に漂着し、ブラジルを「発見」した土地。州都サルバドルは1549~1763年までブラジルの首都だった。奴隷貿易の拠点だったことから、アフリカ文化が色濃く、ブラジルの中でも、最もディープな祭り好きの町として知られる。

 あちこちで、つかみ合いのケンカが起きるが、拳銃と長い警棒を持った市警察機動隊や軍警察が鎮圧し、何事もなかったように大騒ぎが続いた。群衆の中には日本人の顔も。サルバドルに語学留学中の大学生染谷実範さん(22)は「海外でサッカーを見るのはこれが初めて。少し怖かったですが、さすがにすごい熱気」と話した。

 試合が終わっても、騒ぎは朝方まで続いた。そこら中で爆弾かと思うほど野太い音の爆竹がさく裂し、街中のバーからは客が歩道にあふれた。

















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