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第12回スペイン大会

イタリアに幸運の突然変異


 短期決戦を制するには、既存の戦力にプラスアルファの要素が必要-といわれる。82年大会のイタリア代表が、幸運にもその条件を手にした。

 FWパオロ・ロッシ。2年間の出場停止という選手生命すら危ぶまれた長いブランクを経て、スペインの地を踏んだ。代表復帰を疑問視する声が開幕後もバッシングとなって強まる中で「突然変異」を遂げ、母国に44年ぶり3度目の栄冠をもたらした。

 1次リーグ(L)全3試合に先発してノーゴール。イタリアは3引き分けでカメルーンと並びながら、かろうじてグループ2位で突破したが、計2得点と決定力不足は深刻だった。2次L初戦でも精彩を欠いたロッシに批判は集中。だが、ベアルゾット監督は「得点のにおいを感じる選手は彼だけだ」と起用し続けた。

 指揮官の我慢は報われる。引き分け以下なら敗退となるブラジル戦でハットトリック。準決勝ポーランド戦で2発、決勝の西ドイツ戦でも1ゴールをたたき込んだ。6得点で得点王を獲得。わずか3試合で英雄となった。

 21歳の若さで3得点2アシストと活躍した78年アルゼンチン大会の翌年だった。ペルージャに在籍していたロッシは、相手選手と交わした「引き分け? お望みならばね」という冗談が命取りとなり、八百長疑惑で3年間の出場停止処分を受けた。期間が短縮され、処分が明けたのはW杯開幕直前の82年4月。「活躍できた理由は、指揮官に守ってもらえたこと」。汚名返上への執念が込められた6ゴール。大会後も好調を維持し、同年の欧州最優秀選手に輝いた。

 選手の能力を無限大に引き出すプラスアルファのドラマが、時として奇跡を引き起こす。

















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