<釣りをしようよ

 プルルン体験隊>

 釣りの初心者&ビギナーを対象とした「楽しく釣りしちゃいましょ~プルルン体験」を9日、東京湾で行った。月刊情報誌「横浜ウォーカー」で参加者を募った。募集人員54人に対して、釣りとは縁の薄かった80人以上が申し込んでくれたこともあり、枠を拡大して総勢69人がサオを握った。キラキラの晴天の中、元気にはねるシロギスに「面白~い」「クセになりそ~」「また、やりた~い」と明るい声が東京湾上で響き渡った。

 釣りの常識は、初心者には未知の世界だった。サオの持ち方、リールの使い方、仕掛けとオモリのつなぎ方、エサの付け方…すべてが初体験。各船にはベテランの常連さんが乗船してくれてお手伝いをしてくれた。「ハリスは細いからあんまり強く引っ張らないでね」とアドバイスすると「ハリス、ってハリですか?」。そりゃそうだ。陸上生活で「ハリス」なんて言葉はない。釣りでしか使わないものね。

 「エサはハリに短くチョン掛けしてね」。こんな表現だってチンプンカンプンだ。シロギスは、おちょぼ口で、ヒットするときは吸い込むようにして食らいつく。その吸い込みがサオを持つ手に「プルルン」と伝わってくる。エサのアオイソメを1匹そのまま掛けてしまうと、ハリに掛かっていない場所を食われて「プルルン」というアタリを感じても魚がいない、ということが連発してしまう。だから、エサは短くしてハリにチョコンと引っ掛けておくのだ。いやいや、どうやって参加者にわかってもらえるか。そこを工夫して説明するのも楽しいねぇ。

 乗船している全員がライフジャケットを着用している。これ、実は常識なんです。船のすぐ外は海。仮に落ちても沈まないサポートをしてくれるのがライフジャケットなんです。参加者からは「へぇ~、ちゃんとした装備を船宿さんはしてくれるのね。安心だわ~」と感心する声も出た。

 船が水しぶきをあげて進むと歓声や拍手がわき上がり「パパ、ドキドキするね」と親子のひそひそ話もあったりして。山下橋「広島屋」は山下公園のすぐ横に船着き場があるため、釣り場に向かうときにはベイブリッジをくぐって東京湾に出る。「すげぇ~、ベイブリッジが真上にあるぜぇ~」「横浜港を一望できて気持ちいい~」。操船した広島屋の石井晃船長は「いつもの風景なんだけど、こんなんでも面白いんだねぇ」とボソリ。

 今回は釣りの未経験者もいたため、ハリにつけるエサでマルキユーに協力してもらった。「特鮮海づりイソメ」は細長い形状をしていて、色もパステルカラーの淡いピンクやペパーミントグリーンと子どもでも抵抗なく扱える。写真の姉妹は「生きているムシを触るなんて、ありえない。絶対にイヤ。このマルキユーのエサだったら大丈夫だよ」とニッコリ。2人で計20匹以上を釣り上げて「また、釣りやりた~い。生きているムシだったらできないけどねぇ~」と、最後までアオイソメは拒否していた。

 参加者の釣果にはバラつきがあって、1匹から30匹以上までの差が出た。釣っていた時間は午前9時から正午前後の約3時間。水深8~20メートルの浅い場所だったこともあり、何度か仕掛けを底まで落とすうちに慣れていった。何人かは船酔いをしてしまったが、前日から酔い止め薬を服用し、出船の30分前にも飲んでいた参加者は気持ちよくサオを握れていた。

 釣り終了後は、つり幸の桟橋に集結し、前日までに日刊釣りペン・クラブの加藤雄二さんらが釣り上げたシロギスでつくったしゃぶしゃぶや天ぷらに舌鼓を打った。「東京湾のシロギス、ってプリプリしておいしー」「しゃぶしゃぶ、いけるねぇ~」と歓声があがった。

 閉会式では、テレビ東京「釣りロマンを求めて」にレギュラー出演する釣りガールの阪本智子が司会を務めた。「大阪出身なのでシロギスは生まれて初めて。オモロイですね。あのプルルンとくるのは楽しいわぁ~」とゴキゲンだった。閉会式ではがまかつ、マルキユーからの豪華賞品の抽せんも行われた。日刊スポーツ新聞社が主催する神宮花火大会のペアチケット2枚も贈られた。【寺沢卓】