2020年東京五輪・パラリンピックの3会場見直し問題で今日29日、4者のトップ級会合が都内のホテルで午後2時から行われる。一部が報道陣に公開される注目の会議で結論が出される見通しだが、会議前日の28日は水面下で大詰めの調整が続いた。東京都の小池百合子知事(64)も協議次第では「結論先送り」の可能性にも言及しており、主張を曲げられない一定のラインがあることをのぞかせた。

 小池氏は都庁で取材に応じ「都として複数案を出している。決まるかもしれないし、決まらないものは先送りすることになるかもしれない。明日の協議次第」と主張。あくまで協議の展開次第との見方を示した。

 4者協議には、国際オリンピック委員会(IOC)からジョン・コーツ副会長、大会組織委員会は森喜朗会長、東京都の小池氏、政府から丸川珠代五輪相が出席する。ボート、カヌー・スプリント、バレーボール、水泳の3会場について、都の見直し案から、具体的な結論を出すとみられる。

 意見調整が最も難航しているのがバレーボール会場。有明アリーナ(江東区)の新設、既存の横浜アリーナの活用という2案で調整されてきた。27日の作業部会直前に急浮上した「国立代々木競技場」案だが、ハンドボール会場に予定されており、作業部会に出席した複数の関係者が、議題にも上がらなかったことを明かし事実上、消滅したとみられる。

 関係者によると、横浜は観客動線において安全を確保するためのスペースが少ないことなど、運営面で課題があることから、困難との見方が強い。ただし、都の調査チームは大幅なコスト削減につながる可能性がある横浜案のメリットを強く主張している。

 ボート、カヌー・スプリント会場は宮城県登米市の長沼ボート場案が見送られ、コストを抑えて海の森水上競技場(江東区)を新設する方向。水泳は五輪水泳センター(江東区)の観客席を当初計画の2万席から1万5000席に減らして新設する見通し。

 小池氏はこの日、都政改革本部の会合で「都が提案したものはIOCの(コスト軽減などを求めた)2020アジェンダと同じ。IOCは、東京都の挑戦にむしろエールを送っていただいていると思う」と強調。一方、小池氏のブレーン、上山信一都特別顧問は「29日で4者協議も一段落になるが、予算管理は29日がキックオフだ」と、会場問題に関しては区切りが付くとも取れる発言で締めくくった。