訴え損…スポーツ界の暗部/政界地獄耳
★今年1年を振り返る時期になってきたが、なんといっても今年はスポーツ界のパワハラやセクハラ、透明性の確保など国民も20年の東京五輪を前に、スポーツ近代化への思いがほとばしった年だったといえる。相撲、アメフト、体操。さまざまなプロ、アマ競技に熱い視線が集まることと、その期待に厳しい目も向けられたといえる。また、猛暑だった今年は真夏の炎天下での高校野球の改善策も各階層で議論された。国民がスポーツを身近なものとして楽しみ、良くしていこうという表れでもあろう。
★その中でも、日大アメフト部での「悪質タックル事件」は世間の注目を集めた。コーチや監督の絶対権力や大学スポーツの閉鎖性なども話題になった。日大は第三者委員会で内田前監督、井上前コーチの指示を認めたものの、警察は不起訴処分に。大学理事長の責任論が根強くあったものの、会見すら開かれなかった。10日、日本体操協会はパワハラなどがあったとされた同協会副会長と女子強化本部長は第三者委員会の調査の結果、パワハラは認められなかったとして2人の一時職務停止を解除した。あれだけ世間を騒がせた2つの事案はいずれも「なんでもなかった」という決着となった。
★これでは国会の超党派で組織するスポーツ議連が取り組んだスポーツインティグリティ(誠実性・健全性・高潔性)の部分が全く取り込めていない。スポーツ庁などの関与もかなわない。組織内でこっそり処理をすることと、選手の保護があいまいになり、最後は訴え損になりかねない。選手たちがその力を発揮するために競技団体やコーチ、監督らが存在する。これではスポーツには霧がかかったままだと思われるのではないか。(K)※敬称略
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政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)