時ならぬ、トラ・フィーバーでした。といっても、プロ野球日本シリーズで昨年38年ぶりに日本一に輝いた阪神タイガースではありません。東京湾でトラフグが釣れ盛りました。千葉・勝山「宝生丸」や神奈川・川崎「つり幸」などで、2キロや3キロといった天然物が上がりました。居場所さえ突き止めれば、良型が釣れるとのことでした。

産卵期を迎えるこの時期のフグは、白子の天ぷらがおいしいです。型物が出るのはここ数年の傾向らしいのですが、神奈川県水産技術センターによると、「ここまで釣れるのは不明」との回答が来ました。

同センターでは、2006年(平18)からトラフグの稚魚放流をしています。その前の04年には、長井漁協でも放流したとのことです。「きっかけが放流なのか、もともといたのが条件が好転して繁殖したのか、水温の上昇なのかは分かりません」(同センター)。

30年以上も前から、東京湾にトラフグはいました。秋にシャコテンヤで狙っていたスミイカが掛かってきたのを見たこともあります。ある漁業関係者によると、全国で海がシケて出漁できず、キロ物が出回らない品薄状態になった場合、1キロ10万円の値がついてもおかしくないとのことでした。

今月いっぱいでトラフグは終わってしまう釣り宿も目立つのですが、この時期の新たな対象魚として次第に定着するかもしれません。