酷寒の平昌(ピョンチャン)が、南北問題を解氷モードの変えられるか? 氷上、雪上で繰り広げられる世界トップアスリートの競演に盛り上がる韓国だが、一方で国民が注目しているのが、核問題などで冷え切っている南北関係の行方だ。その視線の先にあるのが、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委第1部部長の訪韓だ。

 金与正部長は11日、2泊3日の日程を終え、帰った。金正恩(キム・ジョンウン)委員長の実妹でもある同部長の訪韓が決まってから「文在寅(ムン・ジェイン)大統領に金委員長のメッセージを届けるか? それは文書なのか、口頭なのか?」など、韓国国内ではその話題で持ちきりだった。

 結局、金部長は10日に青瓦台(大統領官邸)を訪れ、金委員長の親書を届け、その席で「文大統領の都合のいいタイミングで北朝鮮を訪れてくれることを要請する」との、金正恩委員長の意向を伝えた。文大統領は「これから条件を整えて実現させよう」と、返答したという。

 これに日本が反応した。国連安保理が北朝鮮への制裁を決めている上に、南北問題によって利害関係が生じる日本としては、妥当な話かもしれない。要旨は「北朝鮮の核問題が解決しない段階での会談は望ましくない」だった。外交は自国の利益を最優先にする。政府として意見を述べることは、正当な政治活動、外交活動でもある。

 これを受け、さらにテレビで政治評論家や大学教授らがコメント。「韓国がオリンピックを成功させたい一心で、無条件で北朝鮮の要求をうのみにしている」。「北朝鮮に操られている」などの論調だ。その言葉に何の責任もなく、日韓関係を悪化させるだけの重い話を一方的に述べている。深刻な表情で話をしても、言葉に重みは感じない。

 この問題に対する韓国の世論はこうだ。慎重論は一部あるが、大半は「内政干渉だ」。「南北問題に第3の国が口出しすべきではない」。「北朝鮮が孤立して暴れた方が、憲法を変えようとする日本にとって都合がいいから」などだ。韓国も当然、日本同様、自国にとって最も利益のある外交をする。

 対象国間の利害関係が対立することは、世界的によくあることだ。ただし、それが民間レベルまで広がることは望ましくない。平昌がきっかけとなって発展した今回の解氷ムード。政府間の動きはともかく、我々は、4年に1度のオリンピックを楽しめばいいのではないだろうか。時差もなく、テレビ観戦も容易なわけだから。【盧載鎭】