ここまで3個のメダルを獲得しているスピードスケートは、今日18日の男子予選から団体追い抜きが始まる。メダルなしに終わった14年ソチオリンピック(五輪)以降、男女ともに強化してきた種目で、女子は今季3度世界記録を更新した金メダル候補。男子も昨年12月のワールドカップ(W杯)で2位に入るなど、初の表彰台に期待がかかる。ルールや見どころを本紙評論家の青柳徹氏(49=日体大監督)に聞いた。

 -レースのポイントは

 基本はいかに隊列を崩さずに滑れるかです。究極は背格好の同じ3つ子が、足をそろえたむかでレースをするイメージです。空気抵抗を減らすために3人の前後の距離を詰め、全員が力を出し切った状態でゴールを切ることが理想です。

 -戦い方は

 五輪は8チームが出場し、タイムランキングで上位4チームまでが準決勝に進みます。予選から女子は中1日の後、準決勝と決勝が同じ日に行われるハードスケジュールです。各レースでメンバーを変更できるため、補欠の1人を加えた4人の総合力が求められます。

 -日本の強みは

 日本はソチ五輪後にナショナルチームを発足し、年間を通して同じメンバーで強化を続けてきました。わずかな乱れがタイムロスに直結するため、滑りの癖や互いの性格を知り尽くしていることは大きな武器だと思います。

 -女子は金メダルが期待される

 個人で2個のメダルを取った大黒柱の高木美に加え、他の3選手も力をつけてきたことで、今季は1回あたり0・2秒タイムをロスする先頭交代の数を4回から3回に減らす作戦を取り入れました。各選手の負荷は増しましたが、この戦法が世界記録につながり、金メダルも見えてきました。

 -ライバルは

 実力的に見れば、前回王者オランダとの一騎打ちです。今季のW杯は日本の3戦全勝でしたが、五輪でのオランダは驚異的な強さを見せています。個の力で勝る相手を、積み上げてきた技術で超える瞬間を楽しみにしています。

 ◆女子団体追い抜き記録メモ 日本女子は今季のW杯で、世界新を3連発した。昨年11月10日のヘーレンフェイン大会では、高木姉妹+佐藤で2分55秒77をマークし、09年にカナダが高地のカルガリーで作った世界記録を0秒02更新した。12月2日のカルガリー大会では、高木姉妹と菊池の3人で2分53秒88、同8日のソルトレークシティー大会では、高木姉妹と佐藤で2分50秒87に更新した。