ルーキーMF高橋壱晟(18=青森山田高)がフル出場したジェフユナイテッド千葉が、FC町田ゼルビアを下して白星発進した。

 本年度の全国高校選手権と高円宮U-18(18歳以下)プレミアリーグ・チャンピオンシップの2冠に輝いた司令塔が、千葉では00年の阿部勇樹(現浦和)以来17年ぶり7人目となる高卒1年目の開幕スタメン。高校時代から1列下がったインサイドハーフを任された。

 前半は慣れるまで時間がかかったのか「バランスを意識しすぎた」と目立たなかったが、後半開始早々の2分にCKでゴール前まで攻め上がり、こぼれ球に反応してシュートしたが、GKの好守に阻まれた。デビュー戦ゴールこそ奪えなかったが、徐々にボールが集まるようになり、長短のパスでリズムを演出。及第点の動きも「もっとボールを受けて組み立てて、上がって最後は自分というイメージだったけど、うまくいかなかった。得点もしたかったし、出来は50点以下」とストイックに振り返った。

 千葉で高卒1年目に開幕スタメンの座をつかんだのは城彰二、鈴木和裕、式田高義、山口智、酒井友之、阿部勇樹に続き7人目。「前日までの練習で、何となく自分が先発なのかな」と思っていたといい、今季から指揮を執つアルゼンチン出身のフアン・エスナイデル監督(43)から「素晴らしい選手でパーソナリティーもいい」と抜てきされた。

 前日25日には、J1新潟のMF原輝綺(18=市船橋高)がクラブ史上初めて高卒新人での開幕先発を果たした。高橋は「世代別代表で一緒になったことがあるので意識はしていた。評価も高かったみたいだし、同世代の頑張りは刺激になる。自分もやってやるという気持ちになりました」。ライバルの活躍で闘志を高めた上、千葉では37歳の元日本代表MF羽生直剛から「俺だって開幕戦は緊張する。思い切ってやれ」と声をかけられ、吹っ切れた。

 09年以来9季ぶりのJ1舞台へ、エスナイデル監督から「もっと輝きを放つことができる選手」と期待される32番。最後は足がつるまでプレーし「プレースピードが違うので、つかまらないように速くボールを離すことを心掛けた。それでも、高校では試合が終わった時に余力があったのに、プロは『こんなに疲れるものなのか』と思った」とプロの世界を体感した。「勝てたことは良かったけど、何もできていない。次戦はフクアリでのホーム開幕戦(3月4日)。2連勝に貢献したいし、もっとボールやゴールにも絡みたい」と目標を語った。

 初優勝した全国高校選手権では青森山田高の10番を背負い、初戦からの全5戦連発を達成した。期待通りのポテンシャルでプロでも先発起用され、5月のU-20W杯(韓国)も狙う。「もっと主導権を握って攻撃にかかわって、自分も点を取るのが理想」と反省を忘れない高橋が、20年東京五輪も見据えた1歩を踏み出した。【木下淳】