スペインの英雄的ゴルファー、セベ・バレステロス氏が7日、がん性脳腫瘍の合併症のため、スペイン北部にある自宅で死去した。公式ホームページで親族が明らかにした。54歳だった。07年に現役を引退した後は、08年に脳腫瘍を患い、闘病生活を送っていた。

 石川遼(19=パナソニック)がセベ魂の継承を誓った。チャリティートーナメントのラウンド後に、バレステロス氏の死を聞かされると「僕の中では、ウッズ同様にセベ(バレステロス)のゴルフにも憧れて、ここまできた。ショックです」と視線を落とした。

 ウッズとともに目標の存在だった。「ファンを魅了する選手。隣のホールや林から打ってグリーンに乗せる。そんな伝説を何回も聞いてきた」。以来飛距離を求めるようになり、左右に曲げることを恐れない。常にピンを狙う、攻撃的なゴルフを信念にしてきた。

 07年5月のマンシングウェアでは、ツアー最年少15歳8カ月で優勝した。77年日本オープンのバレステロス氏の20歳7カ月(73年ツアー制度施行後)の記録を抜いたものだった。「偉大な方の記録を破ることができた。これから一生、誇りに思っていいのかな」と話した。

 今年1月、アジア欧州の団体対抗戦ロイヤル・トロフィー(タイ)で、ビデオメッセージに登場したバレステロス氏のやせた姿に心を痛めた。「良くなってくれると思ったのですが…」。今後もバレステロス氏のような、ハラハラドキドキの攻撃的スタイルを貫くことが、最高の供養になると信じている。