選手会長の宮里優作（３６＝フリー）が、愛する家族の前で劇的にツアー４勝目を飾った。外せばプレーオフ（ＰＯ）という最終１８番パー４で６メートルのバーディーパットを沈め、通算１３アンダーの２６７とした。同１２アンダーで並ばれた藤本佳則（２７）と谷口徹（４９）が先にホールアウトしていたが土壇場で勝負強さを見せ、１５年１１月のダンロップフェニックス以来１年５カ月ぶりの優勝を手にした。

　時が一瞬、止まった。１８番パー４。沈めれば優勝、外せばＰＯの６メートルの長いバーディーパット。宮里優もＰＯを覚悟した。わずかにそれたかと思われた白球はゆっくりとカップを１周して落ちた。ヒーローは１度ガッツポーズを止めたほどだった。次の瞬間、大歓声に包まれる。土壇場でつかんだ選手会長としての初Ｖは、１年５カ月ぶりのツアー４勝目だった。

　「そうそう入るラインではない。ＰＯを想定していたから２パットを考えていました。タッチが良かったからカップにひっかかってくれた。外れたと思った」

　家族へ、亡き義父へささげる優勝だった。言わずと知れた沖縄生まれのゴルフ一家だが、４年前から名古屋で暮らす。今大会の直前には練習を早く切り上げて、幼稚園に通う長男優吾君（４）を送り迎えした。ゴルフをする小学３年の長女■杏（らん）ちゃんは、この日もスコアをつけながらコースをついてきた。「今朝は（長女に）『誰が優勝するかな』って言われちゃった。それを聞いて俺じゃないんだ、と思った」。そう言って笑わせると、真剣な顔になり「昨年１０月に妻のお父さんが亡くなった。僕の応援団でした。これでやっと、義父にいい報告ができる」と心から言った。

　１３年の初優勝まで１０年かかった。前回のＶが１年７カ月ぶりで、今回は１年５カ月ぶり。「（優勝は）中毒性がありますね。またこういう経験がしたい。苦労しても勝てない時期があったから。（妹の）藍も頑張っている。お兄ちゃんも頑張る」。真っ黒に日焼けした宮里優に似合う、最高の笑顔だった。【益子浩一】

※■は草カンムリに來