<女子ゴルフ:LPGAプロテスト>◇最終日◇28日◇奈良・グランデージGC(6478ヤード、パー72)

 プロ野球西武などで活躍した工藤公康投手(48)の長女遥加(18=フリー)が、劇的な逆転合格を果たした。この日のベストスコア66をマークして通算1オーバー。前日の48位から9位に順位を上げて、20位までの合格ラインを突破した。観戦に訪れた父から祝福を受け、「ファンが応援したいと思えるプロになりたい」と笑顔で宣言。

 勝負師の遺伝子を、確かに受け継いでいた。最終18番で1メートルのバーディーパットを沈めた工藤の顔がほころんだ。広げた右手のひらに、左手の人さし指を1本立てた。6アンダーを示すポーズが“プロゴルファー工藤遥加”誕生を告げた。

 「正直、ホッとしてます。まだ、夢なのかなという感じです」。

 前日までの2日間は、7オーバーで48位。20位までの合格ラインへ、崖っぷちに追い込まれていた。危機を救ってくれたのは、プロ野球で幾多の修羅場を切り抜けてきた父公康だった。

 2日目終了後、すがる思いで助言を求めると、不調だったパットの改善法を教えてくれた。「50センチ先に、球1個分の隙間を空けてティーを2本刺し、その間を通す練習をしなさい」。実は、北海道で収録した25日のゴルフ番組で一緒だった石川遼から、娘のために聞いてきた練習法。その効果は抜群だった。3番で5メートルを沈めるなど8バーディーを奪取。自己ベストの66に結びつけ「いつもなら父には聞かないんですけど、何でもいいからアドバイスが欲しかった。助けてくれました」と感謝した。

 父は「今日の思いを、これからのゴルフでも忘れないようにやってもらいたい」とエールを送った。劇的な逆転劇で一発合格を飾った工藤は「ファンが応援したいと思えるプロになりたい」。弾むような声で宣言し、プロ人生のスタートラインに立った。【木村有三】