<男子ゴルフ:サン・クロレラクラシック>◇3日目◇30日◇北海道・小樽CC(7471ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 東北福祉大2年の松山英樹(19)が9バーディー、1ボギーの64を出し、通算8アンダー208で、40位から6位に浮上した。同じ19歳のライバル石川遼のコースレコード63には、あと1歩届かなかったものの、4月のマスターズで日本人初のローアマ(ベストアマ)に輝いた実力を見せた。

 遼の消えたコースを、同じ19歳が盛り上げた。最終9番パー5。ここまで7アンダーの松山は4メートルのイーグルチャンスを迎えた。決めれば、ライバル石川のコースレコード63に並ぶ。「遼(の記録)ですよね。知ってました」。意識したせいか、球はわずかにカップの右に外れたが、表情には充実感が漂った。

 4月のマスターズで68と日本人9人目の60台をマークした「強い松山」がよみがえった。11番で8メートルをねじ込み、連続バーディーを奪うと勢いに乗る。15番でも6メートルを沈め、2度目の連続バーディーでガッツポーズ。後半も4番から3連続、8番から連続バーディーで締めた。平均パット1・4615は1位、平均飛距離303ヤードは2位。前週セガサミー杯は予選落ちだったが、この日はプロを圧倒する内容で存在感を示した。

 今月上旬の日本アマ決勝トーナメントでは後輩で同大1年の「ぽっちゃり王子」古田幸希に敗れた。東北福祉大には日本代表など、実力者がそろう。アマチュアとはいえ、気を抜けない状況は続く。昨年から7キロ増の80キロと肉体強化にも成功。この日も「先輩に勝ちたかった」と14位に入った4年の藤本佳則の順位を常に確認した。16歳でプロ転向した石川とは対極の道を歩むが、大学内の激しい競争の中で順調にレベルアップを図っている。

 大学の先輩の池田も64を出し単独首位に浮上。同じく先輩の岩田も66で6位に順位を上げた。仙台市にある同大の阿部監督は「今年のうちの合言葉は“被災地のためにできることをやる”ですから」と躍進の要因を挙げた。松山自身も来月のユニバーシアード(中国)出発前に宮城・南三陸町でボランティア活動を行う。「明日も今日と同じようにプレーしたい」。最終日も、もう1人の19歳が魅せる。【田口潤】