<女子ゴルフ:サイバーエージェントレディス>◇最終日◇29日◇千葉・鶴舞CC(6400ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 復活Vだ!!

 昨季賞金ランク3位の有村智恵(24=日本ヒューレット・パッカード)が、ボギーなしの7バーディー65というコースレコードタイで回り、通算15アンダー201で今季初優勝を飾った。1番から3連続バーディーを奪うと、4番でチップインでパーを拾って勢いづいた。最終18番で20メートルのロングパットを決めてバーディーで締めくくり、初日から首位を譲らずに完全優勝。左手首痛を乗り越えた完全復活を証明するツアー通算11勝目を挙げ、うれし涙を流した。

 最高のバーディー締めで今季初Vを彩った。最終18番パー4の第3打。有村は2位に4打差をつけたが、ピンまで20メートルのパットを狙った。距離、ラインともピタリと合ったバーディー。ギャラリー約3600人の大喝采を浴びながら、気持ちよく右拳を突き上げた。昨年10月の樋口久子・森永製菓ウイダーレディス以来、約6カ月ぶりの通算11勝目。「気持ち良く上がれてほっとしている。うれしい気持ちもあるし、幸せです」と白い歯をこぼした。

 完璧だった。前半1番から3連続バーディーで独走した。4番パー3では第1打をバンカーへ入れ、第2打もグリーンをオーバー。ボギー以上をたたく危機だったが、残り20ヤードをサンドウエッジでチップインし「流れがあると思った」(有村)。コースレコードタイとなる65を出すおまけ付きで今季初V。2年前は首位で迎えた最終日の大失速でV逸したが「これで嫌な思いも吹き飛びました」と穏やかな笑顔をみせた。

 優勝インタビュー後、関係者へのあいさつで突然、涙が流れた。「今日は泣かないと思ったけど、最後に泣いちゃいました」。昨年から左手首痛に悩み、ゴルフができずに休養する日々が続いた。昨年末、女性トレーナーに「治してあげられなくてごめん」とメールで謝られた。オフの米フロリダ合宿では左手首に違和感が出て「自分のゴルフ人生の終わりかな」と絶望感に浸った。だが同トレーナーに筋肉痛であることを説明されて助けられたことを思い出した。「周りのためにも早く結果を出したかった」と泣いて喜んだ。

 昨年からフィギュアスケート浅田真央のトレーナーを務める牧野講平氏(33)のサポートも受けて肉体改造を続けてきた。今後も超音波治療などで左手首をケアしながらツアーに臨む。

 有村

 まだ1勝。昨年の自分をすべてのデータで上回りたい。常に出る試合で優勝争いしたい。

 次週のワールドレディスサロンパス杯(茨城GC)で尊敬する東北高の先輩・宮里藍(26)と再会する。「藍先輩と、できれば同じ舞台で早く戦いたい」。世界の強豪が集まる今季初の国内メジャー大会を最高の形で迎える。【藤中栄二】